歴史の、それも第二次大戦が始まる少し前。そのころの日本をとりまく世界を描いたノンフィクションにどっぷりはまっている。どちらかといえば戦後民主主義でやや左寄りな戦後ジャーナリズムが「軍の暴走」「軍国主義」と忌避するあたりの日本。不当性を糾弾するだけでは本質が見えにくいばかりか、なにか別なものに書き換えられてしまいそうになる。
日華事変とノモンハン事件。
それぞれ、日本の正規軍が中国(中華民国)正規軍と、ソビエト連邦正規軍と戦った。これらは事変でも事件でもなく「戦争」そのものであった。どうして日本の軍隊が海を越えて中国大陸にいたのか? なぜ戦闘が始まったのか? なにがどうなれば勝利者で、あるいは敗者といえたのか? というかそもそも目的なんてあったのか? これが実によくわからない。点で理解できても線でつながっても、面で捉えられない歯がゆさがある。情報は錯綜し、またいろんなプロパガンダが介入しやすいのもこの2つの戦争の特徴である。
『日本はいかにして中国との戦争に引きずり込まれたか【草思社 田中秀雄著】』
左派は日本軍暴虐説や侵略説を掲げ、右派は中国を征伐し居留民や中国民衆を護ったなどと美化される日華事変。実態はどうだったのか支那通軍人・佐々木到一氏の足跡から読み解く。中国人の本質についても触れてあり、いまもある反日デモや一方的な尖閣諸島への威嚇についても腹にストンと落ちてくるものがある。本書から引用してみる。
「吾々同胞はこれを支那民族の残忍性の一面として牢記(ろうき)せねばならぬ。将来と雖(いえど)も機会だにあらばこれを再び三度繰返すものであることを銘肝(めいかん)しておかねばならないと思うのである。弱しと見ればつけ上がり威(い)たけだかになるところの心理は、恐らく支那人を知る限りの日本人は承知している筈(はず)である。これに油を注げば如何なる非道の行為にも発展するものであることを」
『明と暗のノモンハン戦史【PHP研究所 秦郁彦著】』
これまでノモンハン事件について書かれた戦史を何冊も読んできた。 どういうわけかこの日ソ国境紛争の出来事が気になってしまう。
高じて本気でハイラルまで行こうとしたこともある。そしたらあの村上春樹氏も子供のころからノモンハンにひきつけられていたらしく、著書『辺境・近境』では実際に戦跡を訪れ、ルポタージュを上梓されている。『ねじまき鳥クロニクル』にも書かれていた。
ぼくが以前、読んだほとんどは日本がソ連に惨敗したというものだった。日本側死傷者1.8万人に対し、ソ連側死傷者9千人。それがソ連崩壊後真実が明るみになり、ソ連側死傷者は2.5万人(うち戦死9703人)と修正された。装備で劣る日本軍がソ連軍に辛勝していたのだ。だけどこの戦争で日本は何を得たのだろう?国境紛争というテーマは日本ではなじみがないが、いまも周辺諸国といがみ合っているのは国境紛争そのものである。この本は、これまでの定説を最新の研究を踏まえて書かれている。これまでの本では知り得なかった事実の発見がじわじわとうれしい。
今日のひろいもの
ニールズヤード Remedies ショルダーリリース・サルブ長い時間、読書に没頭すると気づかないうちにそれなりに目が疲れています。目の疲れはそのまま肩や首のコリにつながり、僧帽筋なんてもうガチガチになってしまいますよね。そこでコリをほぐすために自分でマッサージをするわけだけど、ひどいとただマッサージするだけではなかなかほぐれません。そんなときは入浴してしっかり首や肩を温めたあとにこのマッサージオイルを使ってマッサージします。セジャオイルやアルニカ、ローズマリー、ジンジャーなどが配分され、固形なので液ダレもなし。最初はスーッと清涼感があり、そのあとぽかぽかしてきます。そのまま就寝。朝にはスッキリ肩や首が軽くなっているというわけです。ちょっとこれ、手放せません。
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