郭沫若(かくまつじゃく)について書く。
といっても知らない人もいるかもしれない。その名誉と地位のある文化人として華々しいが、同時に中国人スパイ工作員として疑われてもいる人物だ。あることを調べていて偶然このことを知り、戦慄した。いまの尖閣問題にもつながるので、あえて記事にしようと思った。正直いえば、そろそろ平和な記事に戻したかったのだけど。
郭沫若は留学生として、大正時代の1928年から日中戦争勃発の1937年まで日本に亡命していた。日本の政界にも華々しい文化人として扱われ、彼の家には西園寺公望や近衛文麿などが出入りしていたという。当時の対日工作スパイはソ連のゾルゲや尾崎秀美が有名だが、いずれも途中で身元がバレた。だが郭沫若はバレず活動を続けた。はるかに上手である。
▲ このひとが郭沫若。見覚えがあるかもしれない
亡命者を偽り、実は中国共産党の秘密党員で諜報部員の郭沫若。日本人妻と結婚していたが、1937年、北京郊外で盧溝橋事件が起きると妻子を捨て、中国に帰国(亡命者のはずだが?)。そこでティンパリと『戦争とはなにか』を出版。実はこれ、中国のプロパガンダ本である。早い話が、日本の立場を国際的に貶め、日本との戦争を有利にすすめるための宣伝本だ。南京大虐殺説はこの本を根拠にされたが、ゆえにまがいものである。これを郭沫若がプロットした。
第二次大戦が終わり、中国では内戦が起こってソ連の支援を受けた共産党が勝利。中華人民共和国の建国である。直後、郭沫若は再び日本を訪れる。目的は「日中国交回復」のためだという。いいじゃないか、日中友好。だがこれが意味するところは「中国に都合のいい友好」であった。
中国共産党の対日工作は少なくとも3つ。
- 日本人に贖罪意識を叩きこむ
- 日米安保を破棄させる
- 日本から金を捻出させる
例えば・・
日本の権力中枢に入り込み、中国を敵視する政治家を作らないようにする。マスコミに取り入り「政治三原則(中国を敵視しない、二つの中国を認めない、日中両国を正常化する)」を浸透させる。日米安保反対の学生運動を仕掛ける・・・などなど。
やがて1971年、朝日新聞で『中国の旅』が連載される。本多勝一を使った、いわゆる南京大虐殺を喧伝する中国共産党のヤラセ記事だ。インタビューには「毛沢東万歳」とまである。大学教授らも中国共産党を礼賛する論文を次々に発表した。これが奏功し、「日本は中国にひどいことをした、償わなくては」という意識を国民にすり込ませることに成功。同じ年、日本政府は民間企業にいったん許可を与えていた尖閣諸島周辺の資源調査を取り下げた。いまに続く中国への異常な配慮は、この年に始まったのである。
翌年1972年、日中国交回復。
つまり今年がその40周年。祝うべきなのかどうか、ぼくには判断つかない。続いて1978年日中平和友好条約が結ばれ、1979年には7兆円もの中国向けODAを、30年間約束した。いや、させられた。
戦慄しないだろうか?
3つの工作使命のうち「日米安保は破棄されなかったじゃないか」とあなたはいうかもしれない。これにはぼくも「今のところは」と返すほかない。沖縄を見ればまだ進行形だと思うからだ。あそこで大騒ぎしている人たちは、ほんとうに「住民たち」だけなのか?
ところで、日本へ向かっていた1000隻の漁船はどこへいったのだろう? 事情に詳しい人によれば、どうやら日本領海手前の水域で待機しているらしい。その群れを率いているのは中国の海防艦。情勢やタイミングをみて、何隻、尖閣諸島領内に突入させるかを指揮管理している。漁船もまた、中国海軍の指揮下にあるのだ。まだ突入させていないのは、バネッタ国防長官が北京に訪問中だったからだろう。日本の4倍の軍事費を使い中国海軍の装備は著しく発展したが、まだ日米同盟軍とコトを構えるには早すぎる。とくに海上自衛隊の潜水艦は彼らには脅威だ。
あの反日暴動のさなか、ぼくの知合いも含め、ずいぶんと被害を受けた。入院した人もいる。だが日本のマスコミは報道しない。また焼かれたジャスコやパナソニックの工場など、被害総額200億円。あれは誰が保障するのか?マスコミは無視している。大人のふるまい? とんでもない。大人のふるまいというのは「言うべき時に言うべきことを言う」ことだ。単に日本のマスコミが、中国にとって都合の悪い報道は自主規制するようセットされているだけの話である。
こんな情況をアメリカはどう見ているか?
先日行なわれた米国連邦議会の公聴会でロスレイティネン議員は、こう発言している。
「中国は海洋紛争の関係諸国に対し好戦的な暴漢のようにふるまい、とくに日本に向かって官営メディアやブログが国内の反日感情をあおり、各都市で反日暴動まで起こしているが、米国はあくまで同盟国としての日本を支援します」
やばい、ぐっときた。
同時に、日本の政府高官が「どんなことがあっても尖閣は守ります」といえないのが、あまりに切ない。
最近のコメント