円高ブラボー

世界でいまもっとも安全な通貨、円。

不況の原因だとか、産業空洞化の要因などと危機をあおるけれど、円高はやっぱりありがたい。とくに円で給料や稼ぎを得ているサラリーマンや自営業は、そのおかげで10年間の間に5割も給料が上がった。

「給料なんてずっと上がってないよ」
とあなたはいうかもしれない。たしかに。むしろぼくなんて10年前より収入は減った。それはともかく、円建てでは変わらなくてもドル建てでは明らかに上がっている。たとえば手取り給料が20万円を10年前のレートでUSドルに換算すると 1,660ドル(2002年)。それがいま(2012年)のレートでは2,560ドル。1.5倍増だ。年収ベースなら1万ドルも上がっているのだ。

もちろん、国内にいたんじゃあまりピンとこないかもしれない。でも原油や穀物の国際価格が上がっても、円高が吸収してくれて家計に及ぼす影響は最小限だった。チュニジアやエジプトで革命が起こった原因は食料高騰だったことを思えば、なんと平和だったことだろう。政治家がどれほどドン臭くても、官僚がヘンテコな規制ばかりこしらえても、国際金融社会は黙って円を信用し、買い続けている。

政府や財務省はマスコミをけしかけてGDPの2倍以上もある1,000兆円もの借金をことさら悲劇的に語ってみせるが、誰からお金を借りているかといえば、95%日本国民からである。(外国から借りているのはわずか49兆円)。国民が銀行や生保に預けたお金を、国債を通じて借りている。

「借りたお金は返さなければなりません」
政府はそう言い、貸主である国民からさらに徴税しようとする。「待ったなしなんです」と。それっておかしい。借りた相手に返すどころか、さらに搾り取るのだから。だから「おかしいぞ」というと、じゃあ日本が破綻してもいいんですか? などと開き直る。冗談じゃない。日本が破綻するなんてありえない。

アルゼンチンやトルコ、韓国、ナウル共和国・・
過去に破綻したことのある国々だ。原因は自国通貨が信用されなくなり暴落したからだ。借金があったからじゃない。インフレ率が1ヶ月で500%とかになる。日本円は暴落どころか、上がっている。そんな日本が破綻する頃には、世界の国々のほとんどが破綻してしまっているだろう。中国はもちろん、米国もだ。

円高は悪い!
というすり込みが、度を過ぎているのが気になる。円高、ちっとも悪くない。そりゃ円高で利益が減る会社はある。そんな会社だってばかじゃない。とっくに対策済みだ。自国通貨は国の信用度のモノサシだ。信用度が上がっているのは、それだけ日本人がまじめにやっていることを世界が認めている証拠でもある。

円高は外で使ってこそ威力のほどがわかる。
ぼくが海外の不動産に手を出したのも、日本円で給料をもらう仕事をしているのもこれが理由だ。キャッシュで持つなら強い円、不動産をもつなら安定成長と人口が増える国のもの。ちゃんと俯瞰すればそうなる。ぼくは金融の専門家でも評論家でもないが、普通の頭でもこのくらいはわかる。これまでいろんな国の通貨で給料をもらった。円の強さのありがたみは比べていっそう感じるところだ。

「円資産を避難させなくちゃ」と外貨預金に精を出す人が周囲にも大勢いるが、いささかもったいないようにぼくには思える。「利回りがいいから」などというが、利回りよりインフレ率が高ければ預けるだけ減る。まして、円に対して安くなるのなら目減りも甚だしいではないか。

銀行に預けるよりは少しでも日本企業を応援したいからと、国内株ばかりの投信に手を出していくらか損も出ているが、これはこれでかまわない。例えば、iPhone5の分解パーツをネットで調べてみると、その半分近くが日本製であった。筐体の削り出しや研磨なども日本の技術。「極めれば日本製」ということだ。アップルだけではない。オモテはサムスンでも中身は日本製というスマホやテレビ。韓国製が世界で売れれば、日本製も同時に売れる。最終製品よりも日本製基幹部品のほうがわりがいい。でなきゃ、韓国に対してずっと貿易黒字であることの説明がつかない。韓流グッズが売れようが売れまいが、韓国のほうがより多くの日本製を買っているのだ。

いまにわかる。
5年以内に日本株も上がるはずだ。
東証がその怠慢性を直せば、だが。

円高は「日本は大丈夫」のバロメータ
そんな円高が悪いわけがない。
だって日本は内需の国だから。

日本円で給料がもらえるありがたみを
いま、つくづく感じてます。

7 件のコメント

  • なおきんさんこんにちは

    いいこと教えてもらいました(いつもだけど)。
    ありがとうです。
    また明日からがんばろっと。

    なおきんさんもちびきちくんも
    いい秋をお過ごしください!

  • 私も、日本は一番安心だと思います。海外暮らしには日本円が高くてほんとうにつらいですが、それでも人は(特に香港人は)日本旅行に行ってますよ。いまいろいろなアジア企業が日本の企業を追い越す勢いでビジネスを広げていますが、なんとなくちゃんとした裏付けがあって伸びている企業よりも流行で伸びている企業が多い気がします。私の読みでは、2015年には日本の株は上がるとみています。地道にコツコツ技術を磨きつづけ、もうちょっとビジネスを絞り込めば伸びる企業はたくさんある気がします。

    なおきんさんのブログを読むと勉強になるし、がんばる気がおきます!そして、ここで覚えたことをこっそり人に披露してます。(すみません)

  • 以前勤めていた職場で必要に迫られ政治経済を勉強していた時、日本の国際収支など調べていると、必ず思っていたことは「けっして日本の財政は危機的状況とは言えないのでは?」でした。諸外国に比べ国債の海外依存度は低いし、海外からの貿易面での規制をもし受けても、逆に日本が海外への資本投資を規制すればむしろ有利に働くのでは?など思っちゃったりしたので(そんな単純ではないのでしょうが・・・)。
    TPPも諸外国との付き合いから必要な面もあるのかもしれませんが、今まで以上の国内産業の育成と内需拡大を政府が支援する取り組みをすれば、様々な面の国際的な信用も下がらず、国家として維持できるのではないかと思っています。人口問題(日本人の人口数や高齢社会)や軍事防衛面での問題等、気にしなくてはいけない問題もありますけどね・・・。

  • なおきんさんの記事や上記のコメントを拝読していると元気が出ます。

    愛国心というのはよく分からないけど、日本人だし日本が好きだし持ってるのは日本円だけだし。
    なるほど、お給料が減っても、今の経済バランスから見ると決して悲観する事ではないと。

    政治的にも経済的にも外交的にも日本特有の『奥ゆかしさ』が介在してるんでしょうか、メディアからももっと明るい表現が欲しいです♪

  • 何だかんだ言ってもなおきんさんはリッチ組。私は自分の若い頃に比べると暮らしに余裕なんて無い。でも、やりたいことは済ましているから、貯蓄できなくても何とか生活できればいいかな…と。

    それよか、やりたいことしたくてもできない若い人が多くなってるのが気がかり。でも、それは仕方無いことかもね。。。

  • 先日銀行で待ち時間に外貨預金を強く勧められました。
    私はユーロとドルの動向しか見ていませんが、ここ数年で外貨の価値は下がる一方ですよね?ということを言ったら、「よくお勉強されているようですね」と言ってセールス係の人は退散してしまいました(勉強なんてしてませんが…)。なおきんさんがここで指摘されているような「日本円は危ない!」という刷り込みがはびこっているようです。コワイコワイ。

    自国の過大評価は危険ですが、過小評価も同じくらい危険ですよね。私も、多くはないけれど日本円でお給料もらっていてよかった〜♪と日々思っています。

  • min.oさん、一番ゲットおめでとさまです!
    楽観論ばかりじゃ脳がないけど、悲観してどうなるものでもないですね。特に「円高不況」に対してはミスリードしていると思うので、ちゃんと再認識すべきだと思いました。
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    naho@hkさん、おひさしぶりです。
    ぼくが香港に住んでいた頃は1HKD=15円だったのが、いまは10円とずいぶん円高に。日本株は上昇するはずです。ただ前提としてマネーサプライが多くなっていること。債権の価値がやや下がり円安になりかけていること。でしょうか。
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    mu_ne_2さん、
    日本国債がヘッジファンドでたたき売られて暴落するという人が意外と多いですが、今のところ非現実的で、それより前に韓国ウォンが再びたたき売られるでしょう。これ以上のウォン安は輸入資源などの高騰につながるからインフレが心配です。いや、こうなるとスタグフレーションでしょうか。家電の国際シェアばかり見ていると本質を見逃してしまいますね。
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    ラム子さん、
    実は40年前の1979年にも日本の国債が大暴落して日本は破綻すると、大勢の人が危機をあおっていたんです。実際どうだったかは、ご存知のとおりですね。ただ気になるのは、日本人の質。がむしゃらに稼いで食べるより、口を開けて食べ物を待っているタイプが多いような気がしますね。
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    たまやんさん、
    誤解です。リッチどころか、いつも地べたを這いつくばって生きてきました。一夜にして数千万円の借金を抱えてしまったりね。「自由でいること」の代償は少なくないですね。それでもやりたいことはやる。足かせは、案外自分ではめてたりしますからね。
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    riesenmausさん、
    さすが!よく退散させましたね。そうです。銀行の窓口で進められる金融商品ほど危ないものはありません。外貨預金も投資信託も、手数料が高い割に利回りが小さすぎます。いまは黙って円を持ち、国外の成長国で運用するのがよさそう。円がなぜ高いのか、なにが裏付けされているのか、しっかり勉強していきたいですね。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。