香港では鼻毛がよく伸びた。
そこで暮らしていたときは「年のせいか?」とも思ったが、帰国したとたん鼻毛が伸びなくなり、あらためて大気のせいだったんだと気付く。おそるべし大気汚染。だがそんな香港も中国本土に比べればマシである。出張で訪れた上海や広州では咳が止まらなくなったこともある。北京では汚染で視界すら危うい。
汚染度を測る目安として「大気汚染指数」がある。100を超えれば危険で、300以上は「もっとも危険」、人体のあらゆる部位に直ちに計り知れない危険が及ぶレベルだとされる。これが北京では500以上。西直門では933という数値が出た。これはもう「直ちに肺がんになる」というレベル。原発事故の放射能レベルならとっくに「避難区域」である。
「鼻毛マップ」なるものがサイトに登場した。
画面中央から左端にかけてマップがあり、主要都市ごとにバルーンを表示、大気汚染の状態に合わせて色分けされている。都市のバルーンをクリックすれば、画面右の鼻毛が伸びて汚染度を示すというものだ。鼻毛が直毛すぎるし、長すぎるし、汚染度は色で識別してるんだからそもそも必要なのか?と思う。Excellent(優秀)なのに、すでに鼻毛が長すぎるのも気になる。Critical (深刻)に至っては、毛先はすでに乳首を隠すほど長い。鼻毛ごときに乳首を隠されたくはないが、隠れ乳首都市の汚染度は人体にどれほどの悪影響をおよぼすのか?
▲ 「鼻毛マップ」こと"Clean Air Asia"サイト
さっそく北京市をクリックすれば「Very Poor」とでる。相当悪い。だけどそれより悪い「Critical」な都市が中国にはある。インドやバングラディシュにも、そんな都市が多い。いっぽう韓国はまあまあ。日本に至ってはオールグリーン。すべてExcellentだ(さいたま市以外)。なるほど、晴れていれば住んでいる多摩川沿いから富士山がきれいに見えるはずだ。
空気清浄機が売れに売れ、マスクが入手不可能になり、人々は病院に殺到する。5年前、北京オリンピックはかろうじて開催されたが、今ならまず無理だろう。
伸びた鼻毛は切ればすむが、汚染された空気が元に戻るのは何十年も先の話。もっとひどくなることだってあるかもしれない。この世にはいろんな不幸の形がある。子を持つ親御さんの心境を思えば身がつまされるではないか。
この地図がオールグリーンになることは
おそらく、ない。
おまけ
画面右下の”Style Your Nose Hair”をクリックすれば、あなたもステキな鼻毛をコラージュできます。大気汚染がこのまま進んで、そのうちほんとうに鼻毛がファッションに取り込まれそうで、なんだかコワイ。
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