起業したら離婚するわよ
先日(といっても去年だが)、学生時代からの友人Nからメールで「起業したいと奥さんに相談したら、そんなことしたら離婚するからねと脅された、どうしよう?」と相談があった。そんなことを相談すること自体がまず間違っていると思いつつ、久しぶりだし、まあ飲みながら話を聞こうじゃないかということになった。
いつにする?と打診をしたがしばらく返事がない。ようやく来たと思ったら「起業をあきらめた」とのこと。おそらく奥さんから説得されたのだろう。ぼくは、それはよかったと返信した。飲み会は中止となった。
起業に家族の了解は必須である。事業モデルをこしらえるより、銀行に融資してもらうよりずっとハードルが高い。重要なのは、起こす事業をしっかり家族に理解してもらい、応援してもらうことである。それがあるのなら、少しぐらい事業モデルに難があっても、融資を受けられなくても、なんとでもなるものだ。そもそも家族を持つということは、家族をしあわせにすることが至上命題のはず。家族を不幸せにしてまで起業することの、いったいどこに意味があるのだろう。目的と手段が逆である。まあ「オマエに言われたかない」といわれそうであるけれど。
起業は特別なことじゃない
Nがぼくに連絡してきたのは、起業経験者だし、学生のころから「雇われずに生きよ!」みたいなことばかりいってたから、おそらく賛同してくれるものと思ってのことだろう。期待に添えなくて申しわけないとは思うけど、もっとも家族会議で考えが変わったのなら、それはそれで正解である。
サラリーマン自体があたりまえでもふつうでもないのだから、起業すること自体は特別なことではない。ぼくは過去2回起業をしているが、どちらも起業そのものが目的ではなかった。「毎月給料が振り込まれるのがサラリーマンだ」と定義する人がいておどろいたことがあるが、アパートの専業大家だって毎月決まって家賃が振り込まれるが、大家はサラリーマンではない。サラリーマンの定義は他にある。他人の作った会社をテコにして自己実現するか、自分の作った会社で自己実現するかどうかの違いである。どちらが自分に合うかはその人次第である。ただ日本はサラリーマンにやや有利な社会構造である。だから迷う人はたいていサラリーマンを選ぶのだろう。
会社から嫌われている人ほど会社の悪口が饒舌
サラリーマンのうち、自分の勤める会社の悪口ばかり言っている人は、たいてい会社からも嫌われている。真に仕事をしたい人は「この会社は違う」と思えば、さっさと見切り転職なり起業なりするが、辞めもしないで悪口を言い続けている人はたいていヒマで、本人が思っている以上に会社のお荷物になっている。ヒマな人ほど時間を埋めるためによけいな仕事をしては他人に迷惑をかけ、仕事ができない自分を少しでも正当化しようと他の社員の足をひっぱることをする。いっぽうで本当にデキるサラリーマンは、「一見ヒマそうに見える人」だ。レバレッジをかけるのが実にうまいのだ。ぼくの尊敬するらくちんさんはそんな人である。
会社の悪口を吹聴しながら辞めて起業し、成功した人をあまりみたことがない。他の国でもそれは同じだった。Nの奥さんが離婚すると脅したのは、お金の心配のほかに、Nが家で会社の悪口ばかり言っていたからなのではないか? それで「この人を独立させると矛先が自分に向かうのではないか」と察したのかもしれない。前にあったとき、酒の力も借りてNは職場の悪口ばかり言っていた。
イラ写はNの奥さんも読んでいるということだったので、あえて書いてみました。誤解だったらすみません。でも誤解だったらいいのにと願う。
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