仕事も自分自身もどん詰まりの状態。
そんな空気を一新しようと、空気清浄機を奮発した。「値段が倍でも買うか?」といういつもの問い(衝動買いしそうになったときのおまじない)に一瞬迷うが、指先は迷わず購入ボタンを押していた(ひとさし指のヤツめ)。どんだけ空気を変えたかったのだろう自分。だけどそっちの空気と違うことに、後で気づくのもまた自分なのだった。
ぼくは花粉症でもないし、小さな子どもがいるわけでもない。インフルエンザにかかりやすいわけでも、部屋が気絶するほど臭いわけでもない。だから自宅に空気清浄機を置くなんて、ついこないだまで考えてもみなかった。考えてもみなかったものがある日、なぜか自宅にある。不思議なものだ。魔法だろうか。
いたずらな人さし指が購入ボタンを押すハメになったあの時の記憶をよおくたどってみると、純粋に「きれいな空気とはどういうものか体験してみたかった」というまるで1952年のロンドンに住む市民のような理由しか覚えがない。だがそんなふんわりとした理由以外に、なにかしらあなどれない潜在意識が自分にあったのではないか。
日本は世界でもまれに見るほど空気と水がきれいな国。水道の水をそのまま飲める国は日本くらいのもんだし、これだけ車が走り人が行き来する東京のどまんなかで暮らしていても、一日の終わりに鼻の穴の裏が真っ黒になることもない。それでもある休日の午後に掃除機のフィルターを替えながら思ったのは「人間の肺ってこんなふうに取り替えられないんだよなあ」ということだった。
驚くべきことにぼくたちは一日あたり、実に20kgもの空気を吸っている。これは食べたり飲んだりする量のなんと10倍。食べ物や飲み水にはわりと気にするくせに、空気についてはそうでもない。空気は無色透明。だからキレイというわけではない。けっこう汚れているものである。まずホコリ、ダニの死骸(ダニがいない家はありません)、カビの胞子、ウイルス・・まあどれもが有害物質である。VOC(揮発性有機化合物)なんてのも含まれる。また最近では電磁波がすごい。家電や通信機器がハンパないからだ。これらはぼくたちのからだから電子を奪い、酸化させ、いろんな病を引き起こす。そのことはぼんやりと知っていた。だけどなにか行動にうつすこともなかった。それが潜在意識にたまっていき、ある日とつぜんあふれてしまった。そしてこの人さし指に魔法をかけたのかもしれない。
▲ ふだん空中にはこんなにカビ菌が!(ダイキンHPより)
▲ なかなかグロテスクなダニ、これが空中を浮遊しているとは!効果絶大。(ダイキンHPより)
買ったのはダイキン製。
2012年モデルの型落ちである。ということで定価6万もするものが2万円ちょっとで買えた。他社メーカーのものはイオンだのプラズマだのを放出し部屋の空間で空気をキレイにさせるのに対し、こちらは汚れた空気をすばやく吸引し、機械の中でプラズマイオン化+フィルターで濾過し、清浄し終わったキレイな空気を外に吐き出すというタイプ。理論的にはこちらのほうが前者より100倍効率がいいが、問題はいかにしてこの「吸引し、吐き出す」というサイクルを早められるか。でないと清浄が追いつかないのだ。ダイキン製のこれはこの問題をクリアしている。その上加湿機能もついており、ベストな湿度を保つことができる。
▲ ダイキン モデルTCK55M-W(2012モデル)
さっそく1週間ほど使ってみた。
この空気清浄機、つけっぱなしにしているうちにさまざまな変化がある。まず外から帰って着替えをすれば「ハウスダストランプ」がオレンジ色に変わり反応する。ホコリやウイルスを感じ、急いで清浄しているのだろう。次にフライパンで餃子を焼いてみる。換気扇も回しているが、さっそく「ニオイ」ランプがオレンジ色に変わった。さらに強いニオイではランプは赤く変わる。アイランド型のキッチンなので居間にニオイがこぼれ出るのが悩みだったが、これはいい。ホットプレートで焼肉や鍋をするときにもよさそうだ。ついでに清浄機に向かってオナラをしてみたくなる。
▲ ていうか、してみたらニオイセンサーが赤に。なるほどそうきたか
空気清浄機の本領発揮は寝室である。
一日20kgぶん呼吸するということは、寝ている間に5〜8kgぶんの空気をからだにいれることである。ダニのフンや死骸などハウスダストにまみれた空気、対策するとしないでは大違い。まして1年後、10年後となれば彼我の差は歴然である。つくづく肺は交換できないのだから。だが問題はその音だ。平常運転はとても静かなのだけど、一度ホコリが舞うとハウスダストランプが反応し、とたんにゴーッという音をたてる。「ノドや肌しっとり」モードにしても音がデカい。神経質な人だと、これはちょっと眠れないのではないか。寝付きがいいぼくは、あっという間に寝てしまったが。
このたびぼくが購入したのはコンパクトタイプ。それでもわりとデカイ。水タンクが満タンならそれなりに重い。気になるメンテナンスは意外と手軽。コストは電気代など丸一日つかって6円足らず。フィルターは数カ月に一度(タバコを吸う家庭なら1ヶ月ごと)水洗いし、交換は10年単位ですむようだ。
ということでもし覚えていたら「キレイな空気とはどういうものだったか」使用一年後のようすをレポートをしてみますね。こういうのは長期間つかわないとわからないもの。といってもこのモデルは除湿機付きじゃないから夏は使えないかもしれないですけど。
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