ブログはたいてい個人運営である。
イラ写もそうで、管理人のなおきんが「ひとり編集会議」をしてはせっせと更新している。ひとりなのだが、頭の中ではこれがなかなかにぎやかである。それぞれが好きほうだい発言し、別の誰かがやれやれといった感じで議事録をとる。だれも発言しない日もある。寝ていたり、別のことを考えたり、犬と遊んでいたりする。サボることもある。何時間もかけることもある。だが時間と質は比例しない。まして、参加者の数でもない。「ひとり編集会議」でどんなやりとりがあるのか? ふだんは極秘の編集会議、参考までに前回の記事ができるまでのようすを、議事録をもとに本邦初公開。
どうでもいいけど、まあこんな感じである。
なおきんA:(ぱんぱんぱん = 手を叩いて招集の合図)さてみなさん、これから1月21日更新予定の記事についての編集会議をはじめます。よろしいですね?
なおきんB:ねえ、それよりこないだの靖国の記事、メールいっぱいきたね。どっちかというと腹を立てた感じの。思うんだけど、ああいうのさあ、こういうお気楽ブログでやるのって限界あるんじゃないの? だからさ、もっとユルイやつでいこうよ。
なおきんC:コメントでは肯定的な意見もあったし、フェイスブックやツイッターでも拡散されてたぞ。それなりに調べ、思慮したんだから臆することはない。ユルい記事は合間にやればよい。そのようなユル記事ばかりでは、ここにいらっしゃるレベルの高い読者が物足りなくと思うがいかがか?
なおきんA:そうですね。でも「硬軟おりまぜて」というのがイラ写の編集ポリシー。かたい記事もあればやわらかい記事もある。バランスよく配信しましょう。それに否定的なコメントやメールは「無関心」じゃないことの証明です。どんな意見であれ、ありがたいことです。そのように記事を起点に、気づきが得られ、自分で考え、意見を主張する機会が生まれるのは開店以来、イラ写のめざすところです。
なおきんB:わかったわかった。なんどくり返せば気がすむんだよ。でもさ、歴史モノは「マレーシアの教科書」んとこでやったじゃん。順番からいけば次は「ユル系」だよね。歴史ってほら、興味ある読者も限られてるし、あんまり続けてるとそのうちアクセス減っちゃうよ。
なおきんC:アクセス増を狙って記事をアップしてるんじゃない!
なおきんA:まあまあCさん。それからBさん、机の上の足、降ろしてくださいね。お菓子も禁止です。会議中なんだから。ちょっと思うんですが、その「マレーシアの教科書」の記事で削りとってしまった「ハリマオの暗躍」に関する部分。ほら、ドイツの電撃作戦以上に日本のマレー攻略のピッチが早かったのは、ハリマオの功績があったからだという。あれ、埋没させとくのもったいなくないですか? 他の文献でもあまりない触れられていない着眼点ですよ。
なおきんB:そう、お金だって使ったしね。本とDVD、ハリマオの資料だけでも5・6千円したよ。それにハリマオをメインテーマにすれば、団塊世代の読者にもささるかもね。もっともYouTubeとかのおかげで若い人でも知ってるようだしさ。トップイラストは「ハリマオ扮したなおきん」がいいと思うな。古い映画の看板をモチーフにしたやつで。あそうだ。Cさんも歴史モノだったらいいんだろ?ねえほら、すねてないで答えてよ。
なおきんC:どうだかな。だいいち、マレーシアの歴史モノが続くがそれはいいのか? それよりいま仕込み中の「脱原発系」あたり、そろそろ出してはどうだろうか? 都知事選のイシューにもなってるし。そういえばこないだ「首都圏反原発団体」のチラシがポストに入ってたな。あれどうした?
なおきんB:ちびきちがおしっこかけてたから捨てたよ。でもさあ、原発系はしばらくやめようってまえ話したじゃん。もうやだよ、自称学者とか相手にすんの。市民団体もヘンなの混じってて不気味だよ。先週、書きかけた「ヒマな元首相たちの老害」っての、どう?それとも 「ちびきちと歩く散歩みち」は? 写真、だいぶたまったよ。
なおきんA:政治モノは現役首相くらいにしときませんか。それからここ、ペットブログじゃないからね。ぼくもBさんの「ハリマオ」はいいと思いますよ。前の記事と「マレーシアの独立」でテーマセットされるし、単体でもイケる。ハリマオのコスプレイラストもいいんじゃないでしょうか。マレーシアで96年にTV放映されたっていう、あのネタも使えそうですね。
なおきんC:うーむ・・時間もないことだし。どうするかな? でもやるんだったら、その代わりF機関の関与とジットラ要塞のことはぜったい入れてくれよ。おっと制限時間はいまから2時間。延期はなしだ。明日も早起きだからな。校閲はA、おまえがやれ。オリジナルじゃなく、元記事のの書きなおしだ。それからB、イラストをたのむ。ところで「結」はどうしめる?
なおきんA:悩みますね。もともと「マレーシアの教科書」のところでセンテンスとして使う予定だったから、結なんて考えてないですよ。
なおきんB:じゃさ、あれ使えるじゃん。TV放映されたときのナレーション。「マレーシアの心を捉えたのは、ひとりの日本人だった」ってやつ。ぼくね、思うんだけど、日本軍がハリマオを利用したんじゃなくて、ハリマオが日本軍の力を使ってマレーの独立を果たそうとしたんじゃないかな。
なおきんC:いや、おれはそうは思わん。じゃあ他のインドネシアやビルマ、インドやフィリピンはどうだったんだ。ハリマオはいなかったぞ。それでも日本軍は独立に寄与している。
なおきんB:あんたカタいね、あいかわらず。ハリマオのように植民地で搾取されているアジアの同胞をなんとか解放してあげたいという考え方をした日本人は、当時から多かったんだよ。在外日系人にもいたし、政界にも、軍人にも、国内の庶民にもいた。もともと西欧の奴隷制度を軽蔑してたしね。ハリマオはそれらのシンボルさ。両国に橋をかけた人たちの中のシンボルなんだよ。だから映画だって1943年に放映されたし、ヒットしたんだ。
なおきんA:きまりですね。それでは1月21日の記事は「ハリマオ」にします。みなさん、さっそく作業にとりかかってください。じゃ解散!
バランス型のなおきんA、右脳型のなおきんB、左脳型のなおきんC、それぞれがそれぞれの立場で提案し、ごね、ときにはサボタージュし、最後は妥協しながら「ひとり編集会議」は遂行される。それなりにがんばろうとは思うのだけど、やる気がなくてテキトーに済ませちゃうことや、紛糾してまとめるのをあきらめることもある。そもそも会議を招集するのを忘れたりもする。
というわけで、
よければ、こんなふうな「ひとり編集会議」のようすを想像しながら読んでみてください。どのなおきんの影響による記事なのか、思い描くと、ツッコミどころなんかがつかめると思います。それではアディオース!
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