香港に住んでいたころ、電車の中でキャセイパシフィック航空のスチュワーデスをみかけることがあった。赤い制服は車内でいやが応でも目立つ。視線も集まるがそれは彼女の好むところではないようで、ぶ然とした表情で電車にゆられていた。いやなら着替えて乗ればいいのに、と思ったものである。
先日、「制服がエロいからセクハラを受けるようになったと抗議」というニュースに目が止まった。訴えはスチュワーデスなど客席乗務員からなる組合。てっきりミニスカ制服で話題になったスカイマークのことだろうと思ったら、キャセイパシフィック航空であった。
組合側の訴えによれば、2011年に新しい制服が採用されて以来、10回に一回の割合でセクハラが起きるようになったという。被害者のうち86%が女性とある。女性が多いのはわかるが、制服とは関係なさそうな残りの14%が気になるところだ。ともかく前者のブラウスとスカートの丈が短くなったことで、なでる、触る、キスをする、つねる(つねるんかい!)などのセクハラ被害が相次ぎ、いやらしい目つきで見たり、性的なジョークを口にしたり、性的行為を要求されたり、という被害があったという。
ブラウスやスカートの丈が前より短くなっただけでセクハラをしたがるのが男の悲しい性なら、それを集客に利用しようと考える会社も会社である。手荷物の上げ下げや、落ちたものを拾うとき、パンツが見えないようスカートの裾を押さえる彼女たちの姿は、はたから見てもイタイタしい。あれじゃ業務に支障がでるだろうにと思う。だいいち、緊急時に乗客を避難誘導するとき「パンツが見えちゃうから」と必要な姿勢がとれないんじゃ、本人や乗客の命の危険性だってある。
▲ キャセイ・パシフィックの客室乗務員
格安航空会社(LCC)の登場は、ぼくたち利用者からすればとてもありがたい。いっぽうで、コスト(給料)を下げるあまりパイロットの質が悪くなり、このためあわや大事故になりかけた先日のピーチ航空のケースや、値段で勝てないからとセクシー制服で客引きをしようとする老舗航空会社のありかたには、どうも疑問がでてしかたない。ぼくたち乗客は「安全で早く確実に目的地に着くため」に飛行機を利用するのだ。その前提があってはじめて「可能な限りリーズナブル」である。逆ではない。
組合から訴えを受けた航空会社側の回答が、これまた気が利いている。
制服が身体に合わない場合は、随時、制服を自由に交換することができます。
サイズの話じゃねぇ!
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