どうも日本の医療はおかしいんじゃないか?
ここ数年間、思い続けていたことだ。
なんといっても待ち時間。
仕事の合間に、さっと行ってさっと診てもらう、日本ではこれが出来ない。 総合病院なんて、初診で2時間待ちはあたり前だからだ。
ドイツではほとんど待たなかったし、香港でもそう。 イギリスではいくぶん待たされたけど、それでも30分程度だったと記憶する。
日本のケースは異常だ。
そのくせ検診時間はわずか5分程度。 2時間待って、5分診てもらうわけだ。 これじゃディズニーランドじゃないか!と思う。
しかもその先に「お楽しみ」があるわけではないのだ。
聞くとこによると、日本では医者が一日に診る患者は平均50人以上もいるのだそうだ。 これはいくらなんでも多すぎるだろうと思う。 これで、ひとり一人ちゃんと診察できるのか?と疑いたくもなる。
いっぽう、立場を医者にしてみればこれはもう地獄である。 毎日まいにち50人もの人間とひとりずつ面談することを想像して欲しい。 50通メールを書くのとはわけが違うのだ。 そのうえ勤務医なら手術もあれば検査や病棟の仕事もあるし、開業医ならば往診もある。
何かの本で「日本の勤務医の時給はコンビニよりも低い」と書いてあったが、さもありなんと思う。
■ 医者ひとりあたりの年間外来患者数
△ ちなみにOECD平均は2421人。日本はその3,5倍である
じゃあ、病院は儲かっているのか? といわれれば実はそうではない。 なにしろ医者ひとり当たり、欧米の3〜4倍の患者をとらなければ儲からないほど、薄利多売なのだ。
ということは、さまざまな制度を利用して患者を増やす施策が必要なのだ。 健康志向がブームを超えて定着していることもあり、日本全体ではますます病気にかかりにくくなっている。 病気になっても自力で治そうとする機運もみられ、このままほうっておけば、市場は小さくなる一方だ。
そのこと自体は望ましい。 病気が減っているのだから。
けれども医療学会のお偉いさんたちは、困る。
医療をビジネスでとらえれば、市場は拡大していってもらわなければ困るのだ。
そこで彼らは健康のハードルをあげて「患者を増やす」ことにした。
どうしたか?
まず糖尿病患者を増やした。
これまで血糖値が140 mg/dl 以上を糖尿病といっていたのを、126 mgまで下げた。 それだけで数百万人ものひとたちが突然「糖尿病患者」ということになった。
それから高血圧の基準値を、160/95 mmHgからいきなり140/90 mmHgまで引き下げた。 これは効果抜群で、一挙に高血圧患者が3000万人も増えたのだ。(現在は130/85mmHgまで引き下げられている)
モノが売れない時代。
各社メーカーは涙ぐましい努力でモノを売ろうとしている。
それを横目に「数字をちょこっと変える」だけで、とたんに数千万人もの市場をつくりあげてしまう医療ビジネス。 これにはもう、びっくりである。
かのメタボリックシンドローム。これも相当うさん臭い。
仰々しい名付けをしたところで、結局のところはただの「食べ過ぎ」「運動不足」にすぎない。 ならば食べる量を減らし、運動すればすむだけのことだ。
これを、高血圧、糖尿病、高脂血症(高コレステロール)だとあてこすり、わざわざ「患者」にしてしまったのが真相ではないのか。
その結果、世界でも最も健康で、かつもっとも肥満度の低いはずの日本人が、最も多く病院に通うというジレンマとなってしまった。
馬車馬のように働かされる医者と、実は健康な患者。
ただのマッチポンプである。
このスパイラルを断ち切るのは、つまるところぼくたちの医療リテラシーだ。 たいていの生活習慣病は自分で治せるのである。
がんばろうね。
病院からすれば、「元気よく」病院通いしてくれる患者はとてもおいしいのです。命の別状がなく完治もしない病気。それが生活習慣病。
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