もうすぐ発売される新しいiPhone 6。
予約開始からわずか24時間以内に400万台も予約されたという。2年前、iPhone 5の初日の予約が200万台だったことを思えば、1日も早く次のiPhoneが欲しくてたまらない人口は倍増している。最初のモデルがでた2007年から7年経ってもファンを引きつけてやまない製品を産み続けるアップルという会社はあらためてすごい。ちなみにiPhoneの年内の出荷台数は8000万台と計画されているそうである。
しかもこの初日の予約400万台の中に中国向けは含まれない。でなければもっと増えただろう。iPhone 5s のときは中国も同時発売だった。だのにiPhone 6 では来年以降に先送り。なにか事情でもあったのだろうか? 案の定、この事を嘆く中国人が激増。例によって香港からの横流し業者が手ぐすねをひく。これを人民日報などは「アップルお得意のハングリー・マーケティングだ!」と報じている。消費者をじらし、購買意欲を駆り立てるのだと。
だけど実際のところはどうだろう。
ぼくには人民日報の推測はわざとはずしているようにも思える。ハングリーマーケティングなんて、アップルが仕掛けなくても勝手にそうなる。みんなが欲しがる製品には、おのずとユーザーはじらされるのものだ。まるでディズニーランドの行列のように。
それより思い出されるのは今年の7月、中国政府がiPhoneに対してケチをつけていたこと。CCTV(中国国営中央テレビ)の報道を通じ、「アップルは製品に利用者の情報を盗み取る機能を盛り込んでいる」と名指しで非難。利用者がアプリを使った時間と位置情報などを不正に記録していると抗議した。おそらくその前に、レノボなど中国製PCには、個人情報を盗み見る仕掛けがされていると注意を呼びかけたアメリカへの報復ではないか。同じころ、日本では中国製の無料「日本語変換プログラム(IME)」が怪しまれ、官僚など政府役人がこれを使っていたことが問題になった。
日本の総務省にあたるのが中国の中国工業情報化省。つまりメーカーから申請される新しい携帯電話に対し、発売許可を出したり出さなかったりするところだ。iPhone 6 が中国で同時に発売されない理由は、ここが認可を出ししぶっているといわれる。自国のサイバー攻撃を非難するアメリカへの報復のつもりだろうか?
中国政府が牛耳るさまざまな許認可制は、やたらと政治色が強い。ましてやアメリカと中国はサイバー戦争のまっさいちゅう。あらゆる個人情報がぎっしり詰め込まれるスマホは、盗聴で得られる情報も段違いに高まる。疑心暗鬼になるのも当然だ。ともかくiPhone6の中国国内の販売の遅れは、アップル側の都合ではなく中国側の事情によるのだろう。
日本ではiPhone 6ユーザーの奪い合いで、キャリア3社が争っているが、世界の戦争はそんなものじゃないくらいにきな臭い。「だから言わんこっちゃない」中国内の商売に慎重だったスティーブ・ジョブズ、いまごろあの世で嘆いているかもしれない。
スティーブ・ジョブズはほんとうに日本びいきだったが、日本人もまたアップルびいきである。スマホなどのiOSのシェアにおいて日本は約70%、本国アメリカ(43%)を差し置いて、世界トップである。どうりでiPhoneばかり目にするわけである。これには日本人のサムソン嫌いも理由のひとつかもしれない。となれば日韓関係が原因だろうか?
スマホを見れば世界が見えてくる。
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