頭の中で時計が鳴っている。
これは神経細胞が死んでいく音なのか、と思う。
そう、神経細胞は死ぬ。 1秒間に約一個の割合で。
死んでしまった神経細胞は二度と復活しない。 増殖もしない。 ただ毎日数万個ずつ死んでいくだけだ。 猛スピードだ。 1時間前のあなたの神経細胞はいまより360個多かったのだ。 ほらまた、この瞬間も死に続けている。
でもそのように死んでく神経細胞は、頭の中で必要とされなかったぶんなんだそうだ。 使われていない神経細胞が選ばれて死んでいくということだ。 脳はただでさえ燃費が悪い。 おそらく生命維持のためにも、エネルギーはムダに消費しないほうがいいのだろう。
必要のないものは削ってしまうほうがいいのは、会社のリストラと同じ。 リストラされないよう、仕事でしっかり頭を使わなくちゃならないのも、また同じ。 というのもなんだか切ない話である。
とはいえ、脳をフルに使って死んでいく神経細胞の数をおさえるというのもいささか無理がある。 そもそもぼくたちが意識して使える脳は、全体のわずか一割程度。 どんなに頭を使おうと、リストラされる神経細胞をその死から救うには影響が少なすぎる。
まあしょうがないかな、と思う。 いちいち気にしていてもしかたがない。 どうせ使わない部分なのだから・・・
と思っていたらそうでもないらしい。 脳にとって必要な神経細胞も死ぬことがあるのだ。 記憶に関係している細胞なら記憶障害になっちゃうし、身体のどこかをコントロールしている細胞なら運動障害になる。
ことは深刻である。
ではなぜ必要な神経細胞なのに、死んじゃうのか?
たとえば頭を強く打つといったこと。 強く打たずともゲンコツでこつんと叩くだけでも、数千個の神経細胞が死ぬんだという。 この中には「使っている神経細胞」も含まれる。 だからむやみにひとの頭を叩いてはイケナイのだ。 特に子供の頭は。
「このバカ息子!」などとポカっと頭を叩く親がいまでもいるが、その息子をバカにさせているのはむしろその親である。
タカアンドトシとかいう漫才師も、いささか心配である。
また、「テヘっ、わたしったらバカね(はあと)」と、おちゃめポーズで自分の頭を小突いてみせるのも禁止である。 これは別な意味でも禁止であるが。
それから「酒の飲み過ぎ」もダメ。 睡眠薬や麻薬、覚せい剤も神経細胞にとってはもはや大量殺人兵器である。
脳への酸素不足と栄養不足も致命的である。 痴呆症の半分は脳の血管が詰まることで起こる。 「血管の詰まり」の原因は、たいていストレスと脂肪分の多い食事といわれる。
グルメな生活は、「痩せない」以上に「頭が悪くなる」ことのほうが深刻かもしんない。
自堕落な生活、
それは甘美かもしれないが、頭を悪くしているという点でやはり見直したほうがよさそうである。
まいにち人は誰しも、一日ずつ死んでいくのですね。 だからこそ、ムダなまいにちは一日たりともないのです。
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