リトアニアはちょっと不思議な料理がある。
「飛行船」という意味のツェッペリナイという料理。おそらくツェッペリン号から来ているのだろう。見た目がそのまんま飛行船である。
▲ ツェッペリナイ 色んな種類のソースがある
原料はじゃがいもである。すりつぶしたじゃがいもを小麦粉でこね、中にひき肉を入れてゆでてある。それだけだが、これがもっちりとしておいしい。じゃがいもと小麦粉の黄金比率があるにちがいない。配分を誤ればぼそぼそになったり、べちゃべちゃになりそうだ。
▲ ツェッペリナイ 中身はひき肉と玉ねぎ
じゃがいものソーセージがあるというので試してみた。ソーセージとじゃがいもの付け合せというのはよくあるパターンだが、じゃがいもそのものがソーセージというのはめずらしい。エストニアでは熊やトナカイのソーセージを食べた。リトアニアはじゃがいも。前者に比べればエキゾチックさはないが、めずらしいことに変わりない。
▲ ヴェダレイ(じゃがいものソーセージ)
じゃがいもはおろしですりつぶし、豚の脂身と玉ねぎとあわせ、スパイスでこねてある。にんにくの風味もあったから腸のほうにまぶしてあったかもしれない。それにしても肉の代わりにじゃがいもに脂身で風味をつけたものを詰めるなんて、世界でもリトアニアくらいのものだろう。もしかしたら代用食だったのかもしれない。だがおいしい。ホクホクとしたじゃがいもの焦げた部分が腸詰めにこんなに合うなんて、思ってもみなかった。
ソーセージには獣肉と相場は決まっている。その一線を越えてリトアニアにヴェダレイあれば、日本には魚肉ソーセージがある。これはれっきとした日本人の発明品である。高タンパク低カロリーという意味で、魚肉ソーセージは獣肉のそれを上回る健康食だ。とはいえ、じゃがいものソーセージは冬場はマイナス20度にもなるリトアニア人の大事なカロリー源。ありがたくいただきたい。
リトアニアには他のヨーロッパ諸国にはない豚肉料理がある。ひとつは豚耳や豚足のくん製。鶏のとさかのくん製もあるが、他の欧米諸国では捨てる部分をくん製にしてちゃんと残さず食べるほど、リトアニア人は豚肉をよく食べるようである。レストランでメニューを開いても、牛肉やチキンよりも豚肉料理の行数が多い。ぼくは無難な串刺し肉にしたが、へんなくさみもなくすごく美味しかった。
▲ 豚肉の串刺し(リトアニア名は忘れました)
夏場は冷製スープが飲まれる。ピンク色のボルシチ。たまたま入ったレストランには置いていなかったので、普通のあたたかいボルシチにした。
こちらは玉ねぎの飴色に染まり、ちっともピンクではないが、まあ食欲が湧くのはこちらのほうである。甘からく、これも美味しい。たまたま入ったレストランがよかったおかげで、はずれなしであった。また、リトアニア名物のスープのひとつにビーバーの肉を煮込んだベブリエノストロシュキニスというのがあるそうだ。
ビーバー、食べるんかい!
▲ ビーバー(ラトビアのリーガの公園で)
■ 今日の拾いもの レストラン Forto Dvaras
レストラン Forto Dvaras (フォルト・ドゥヴァーラス) ビリエス通りにある老舗レストラン。ほぼ満席でした。写真のテラス席より、地下の席が雰囲気があっていいです。出された料理にリトアニアビールで大変美味しくいただきましたが、「これもういらない!」と店員に皿を突き返している客を見かけました。いろいろと好みは分かれるようです。
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