ボーナス、過去最低!

「冬のボーナス、過去最低に」
そんなテロップが流れる季節がやってきた。

とはいえ、「ボーナスがもらえるだけまだまし」と諦観する人たちも多いと思う。 日本における就業者*1は5270万人。 このうち正社員が3420万人で、1850万人が非正社員*2非正社員率は33%だけど、そもそもこの人たちにはボーナスそのものがない。
また、完全失業者は347万人。 「戦後最悪」という人もいるけれど、それをいうなら2003年時の385万人である。
それより1992年の60万人からずうっと増え続けているのは、国から生活保護を受けて暮らす人々だ。

その数、実に159万人!
日本で5番目に大きい神戸市の人口と同じである。

10年前、日本人の平均年収は460万円であった。 それがいまでは430万円*3を切っている。 今年はもっと減るだろう。
またそれ以上に減るのは国の税収。 だのに増える生活保護者。
日本は大丈夫なんだろうか? と考えるのは、こんなときである。

とはいえ、日本人の年収は途上国はもちろん、他の先進国と比べてもまだましにみえる。

■ 主要各国(都市別)平均月収一覧

  1. 順位は(手取りベース)をもとに作成
  2. ほとんどの国は日本のようなボーナス制度はない。条件を合わすために、日本のデータは平均年収429万円を12等分したものを月収とした

また、OECD調査のデータによれば日本人の平均労働時間は年々減ってきて、いまは1785時間とある。 だけどこれには、サービス残業は入っていない。 それを勘案すれば、実際には2000時間を超えているんじゃないだろうか? でなきゃ勤め人(しらふ)でごった返す終電を説明できない。

つまり、手取りの時給ベースでは

  • 日本人    1630円
  • 米国人    2000円
  • 英国人    1940円
  • ドイツ人   2010円
  • フランス人  1480円
  • 韓国人     720円

・・・

といった感じだ。

外国人と働いた経験のある人ならぴんとくるだろうけど、実をいえば日本人の、特にホワイトカラーのひとたちの労働生産性は高いとは言えない。 それを思えばこの時給は、相場より高すぎるかもしれない。

さて冒頭の「過去最低」についての報道。
それだけ見れば、日本は不況のどん底にいるような気にさせられる。 不幸な時期、というふうな気にさせられる。

でもほんとうの不幸は、自分の給料を「隣の人」や「よかったころの過去」と比べることにあるんじゃないかと思う。

状況がどうあれ、あえて「いまが1番いい」と毎日思い続けること。 そんな毎日を過ごしている人は、見ていてとても清々しい。

結局のところ
悲観は気分でしかなく、楽観は意思なのだから。

この一年、こればっかり言ってきた気がします

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*1:経済学では会社側など雇い主のことを被雇用者といい、雇われている人のことを雇用者などと定義しているが、これは日本語としておかしい。ここではあえて、雇い主=雇用者、雇われている人=被雇用者とさせていただきました

*2:引用:総務省労働力調査2009年4〜9月期

*3:引用:国税庁民間給与実態統計調査2008年度」

10 件のコメント

  • >ほんとうの不幸は、自分の給料を「隣の人」や「よかったころの過去」と比べることにあるんじゃないかと思う。

    私もそう思います。 良い時代が何十年も続くと挫折感も大きいのかも知れませんね、しかし、不況のせいで時給も大幅値下がりで、暮らして行くのがやっとの世帯も増えたことでしょう。 なので大衆の購買意欲が減り、これからも益々の閉塞感は否めないと思います。

    以前も書きましたが、予測ついてたことなので、失望感はありませんし、したいことも欲しいモノも特に無いのが、生活する上で助かってます。

  • これって、すごくいい話題。なんていうとおこられるかな?「ボーナス、過去最低!」なんて言ってる時にね(笑)。日本のメディアって、最低とか最高とか「最」のつく表現多すぎ。次にもっと悪い年次がきても、それはそれでまた最低と言って済ませてしまうんだもんね。
    日本はまだそれほどの不況とも思えないです(私の知る限り)。仕事を選ばなければ雇用はまだあると聞きました。パートの清掃の仕事の空き1名に対して40人くらいの応募者が殺到するようになってはじめて「不況」という言葉が切実になってくるのかも。今後、雇用が減っていきそうな気配はないですか?
    日本のホワイトカラーの仕事で労働生産性が低いのは、会社がその人たちに結果を求めないからだと思う。いかにサポーティングロールとはいえ、毎日出社して同じ仕事だけをして帰る人たちに、そこにいるだけで給与のアップがあったり、ボーナスが等しくもらえたりする方がおかしいです。なのに自分の給料を他人や過去と比べることができるのは、まだまだ自分は豊か、ということでしょう。で、こういうふうに給料を比べる事ができる人たちがいる一方で、生活保護層が厚くなっているのは矛盾しませんか? 日本は生活保護の受給は難しいのが通説だし(だった?)、原因は不況とは関係ないのかもしれませんよ。

  • なおきんさん、コメント読ませていただき、ほっとしました。
    ありがとうございます。

    私も、バブルも崩壊後も体験している世代です。
    働かせてもらって、ボーナスもいただけるのは、金額に関わらず幸せなことだなぁ、って、ある時から、とても感謝したい心境になりました。

    働けるのも、会社あってこそだと思うので、ボーナスの金額より、今後、会社が発展していって欲しいし、尊敬できる社長の元で戦力になりたいと思ってます。

    収入は減ったのに、自分の金銭感覚がバブルの頃のままで、なかなか抜けきれなかった時期もありました。
    いまは、本当に豊かな金銭感覚を身につけたいと試行錯誤中です。
    マスメディアに知らず知らずのうちに洗脳されて、物欲を煽られると、自分が本当に望んでるものがわからなくなるように感じるので、テレビや雑誌は、選んで一歩ひいて見るようにしてます。

    世界中の富を自分達だけで独占しようとしているあのファミリーがある限り、私達一般市民は、これからも右往左往させられるのかなぁ。
    なおきんさん、彼らはずっとこれからもいろんなこと仕掛けてくるのでしょうか?

    負けずに対応して、真に豊かになりたいです。

  • ボーナスもらえるだけありがたいですよ。私の元旦那なんか仕事が無くなって、7ヶ月も無職で、養育費はもう7ヶ月も半額にされています。お金がもらえるというより、今は仕事があるだけマシって感じのアメリカです。ところでアメリカにはボーナスって余り無いんじゃないかな?私の前に務めていた会社は、日本人の奥さんとアメリカ人の旦那さんが経営する日本びいきの会社だったのに、ボーナスのボの字も出たことがありませんでした。ま何事も下を見たら限が無いのでしょうが。

  • 仕事があるだけありがたい!
    と思うようにはしてますが・・・
    残業代という概念のない会社で
    キモチ程度のボーナスを
    残業代とみなして頑張った去年を思うと
    やはりモチベーションがorz
    いやいや、贅沢言ってちゃダメですよね。
    生活保護の人の方がいい生活してそうな
    感じをテレビなんかで見かけると、
    税金の使い道と同じく複雑な気持ちに
    なるのはアリでしょうか・・・(苦笑)

  • ボーナスって何ですか?それはおいしいものですか?と聞きたくなるくらい縁がなくなりました。
    でも最近、なんか幸せだな、と感じています。
    まだ陽が高い家に帰って、海まで車を走らせ、夕日が沈むのを感激しながら眺めたり、手の込んだ料理をして友人を招いたり、、熱血営業マンだった時には経験できなかったですから。
    母からの手紙に「人間はなにか仕事してたら幸せね。」
    と書いてありましたが、そうかもしれないなーと思います。
    遠くの大きい幸せを追い求めるより、目の前の小さな幸せに感謝して、やるべきことを淡々とこなしていけば、将来もずっとハッピーだと思いませんか?

  • 掃除のヘタな男はオトコではないのじゃ。
    オイラ名前を「そう爺」に変えようかとしらん。

  • ここ5年、ボーナスを貰っていません。年収は300万に届かない状況です。それでも仕事の内容は嫌いではないので、休日も返上して10年間、頑張ってきていますが、35歳となった今、このままでいいのか心配になっています。
    仕事を選ばなければある、地域を選ばなければあるなど、色んな意見をがありますが、色んなことを考えると、ある程度は選ばざるを得ないのが現状です。
    都会と地方の様々な感覚の差もあるんでしょうね。おそらく。
    そんな僕は今回、とうとう仕事をやめて、別の仕事をすることに決めたのですが、非正規社員としての仕事なので、何の保障もありません。それでも根拠のないワクワク感でいっぱいです。
    収入はさらに下がるかもしれませんし、いきなり無色になる可能性もあるのですが、何か無性に挑戦したくなっちゃったんですよね。
    まずはガムシャラに一生懸命、不況なんかぶっ飛ばせで来年は頑張ってみようと思います。

  • ここ最近ボーナスに関係ある仕事してません(笑)
    損保の自営代理店とかインセンティブ率の高い営業とか、契約社員とか(笑)

    生活保護、増えるはずですよ。だって役所の社会福祉部じゃ自立支援のための貸付よりまず生活保護を勧めますからね。
    貸付ても帰さない人が多いので、いっそのこと保護しちゃったほうが早い、的な。
    そのほうが精神的に楽でしょ? 的な。
    今日自分で区役所に相談に行って分かりました。(現在うつで12月末まで再休職中でして(^^ゞ)
    はあ? って感じでした。
    会社運営も行政も安易な方向に進みたがるのですね。

  • たまやんさん、一番ゲットおめでとさまです。
    たとえば30年前と今と比べれば、生活が苦しい人でもモノはその頃よりもずっとたくさん所有していたりします。だのに苦しい、失望するのは「前より悪い」という不安がそう思わせるんでしょうね。だから期待しなければ、不安に陥らないというのもわかる気がします。いい意味での悲観論、ってとこでしょうか。
    ————————
    ぱりぱりさん、マスメディアは「いいこと」にスポットを当てるよりも「悪いところ」に当てるほうが大衆の関心を集めることをしっています。だから「最低」というキーワードは常套句。従い、目にする機会も増えます。日本にはローン返済に「ボーナス払い」が組み込まれていますが、あれ、よく考えれば怖いですよね。「あるのがあたりまえ」のほうがむしろ異常ですからね。
    ————————
    はてなさん、>「働けるのも、会社あってこそだと思う」< そのとおりですね。権利と義務は表裏一体、どちらか一方だけを求めたり行使することが許されるはずもありません。例のファミリーがどうあれ、ぼくたちは真当な生活が何であるかを意識し、意志を持って過ごすほかありませんね。がんばりましょう。
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    ぷうさん、旦那さまが7ヶ月も無職とのこと、お察しします、負けないでくださいね。アメリカに限らず欧州やアジアも、日本のようにパンクチュアルなボーナスが出る国に出くわしたことがありません。世界でもかなりまれな制度だと思います。異常なのは日本のほうです。惑わされないで、マドモアゼル。
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    のん♪さん、ぼくは思うんですが、たとえ生活保護者がお給金をたくさんもらっていたとしても、社会的承認という大事な施しは受けられません。そのことはとても辛いのではないでしょうか。少ない給料、雀の涙のボーナスであっても、ぼくはそちらのほうがうれしいです。
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    ぺぺさん、お母さんの手紙に書いてあった通りです。人間、何かしら仕事をしていたら幸せってもんです。仕事が自分を求めている、というのはやっぱりありがたいことかな、と。できれば夢中になれる仕事、可能なら潤いのある生活が送れる賃金があればなおよし、くらいでちょうどいいのかもしれません。肝心なのはやりがい、それから自己承認です。
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    じゅん爺さん、わははは!「そう爺」ですかー。片づけるというのは、脳内も同時に整理整頓しているのだと思います。そう爺メソッドでがんばりましょうね。
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    mu_ne_2さん、休日返上で年収300万円以下とはたいへんだったですね。そして新たなチャレンジというわけですね。どうかがんばってください。 最悪の事態を覚悟すれば怖いものはありません。前進あるのみ、です。
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    ユリコさん、そんな実態なんですね。>「自立支援の貸付より生活保護を奨められる」 これって人間の尊厳が問われそう。そもそも自尊心はどうなるんだろう?って思います。 幸福感はそんなところには生まれませんね。 自分の存在価値が自他共に認められるのは仕事しかないんじゃないかと、さいきん特に実感するところです。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。