治る病気で身が滅ぶのはなぜ

バカ高い医療費、ちょっとした診察で数万円。
体調が悪いと病院へ行き、4週間分の診察料で150万円。
診断は『腎不全』。 治療を行えばあと何百万円かかるのだろう?
ついに医療保健会社からは保険の支払いを拒否する書状が届く..

2005年以降、「その国」の破産者の半分は膨大な医療費が原因。
しかもその75%は、医療保険に加入しているにもかかわらずだ。
難癖をつけ、支払い拒否をする保険会社は想像以上に多い。
保険にすら入れず、治療なく死亡する人は年間4万5千人!
日本の年間自殺者3万人が、かすんでしまうほどではないか。
しかも彼らは、死にたくて死んでいくのではないのだ。

まっとうな生活を送っていたごく普通の男性会社員。
ごくふつうに妻と子供3人、マイホームで暮らしていたのだ。
ところがある日診察の結果、面倒な病気であることを知らされる。
治療のための医療費で借金漬けとなり、家のローンが払えず滞納
マイホームは差し押さえられ、仕事を失い、家族にも逃げられ
やがて路頭に迷い、ホームレスとなる。

つらい日々、なんでこうなってしまったのか?
さらにホームレスはある団体から厳罰化を訴えられもする。
公園を逃げ惑うも逮捕され、つぎつぎに刑務所に収監される。
ある団体とは、民間刑務所運営会社である。
ふつう刑務所では受刑者1人につき、一日あたり6万円かかる。
これを政府が負担していたが、もはや財政難はそれを許さない。
最近では受刑者は民間会社へ委託をすることにしている。
そうすれば政府の負担は10分の1にまで減るのだ。 やれやれ
問題解決の、向いてる方向がそもそもおかしい。

案の定、このしわ寄せは受刑者自身へと向けられる。
民間刑務所では、本来無料であるはずの食事と医療が有料だ。
かわいそうな受刑者。 医療難民としてホームレスにされ、
収監されてなお、利用料金を絞り取られるのだ。
また、堀の中では「職業訓練」と題し、劣環境な肉体労働が待つ。
受刑者は問答無用。 悪条件にしたがって黙々と働くほかない。

堀の中で行われることは、一般市民の知るところではないが
10人に1人は、看守や他の収監者にレイプされる事実は有名。

たとえ出所できたとしても、刑務所への返済が残るという仕組み。
いったいこれで、どう社会更生していくというのか?
だいいち、ホームレスはそもそも罪人だったのか?
民間刑務所にとって、受刑者はただの金づるでしかないのだ。

こんなのがまかりとおるのだから、ひどい国である。
どこかアフリカか南米あたりの国を思うかもしれない。
しかし「その国」とは、ほかでもない
超大国アメリカ合衆国のことである

オバマが大統領に就任する直前の失業者は1140万人。
就任後、1年経ってみるとその数は1530万人まで増えた。

華々しく「チェンジ」を叫び、未来を照らしてみせたオバマ
多くの支持者を集め、ネットで市民による献金を受けたものだ。
しかし政治献金の7割は、マスコミがいうのとは違っていた。
ジョージ・ブッシュと同じ、昔ながらの方法で
民間企業など営利団体から献金されたものであった。

その中には、民間保険会社も含まれていた。
政治献金というのは当然、見返りを期待してのものだ。

ゆえに・・
国民皆保険を約束するはずの公的保険は排除され、
これまで通り既存の民間保険会社が君臨することになる。
日本やイギリスのようには、アメリカはなれなかったのだ。

オバマが選挙中に公約した「医療改革」は挫折した。
政治献金の縛りは、この男をしても解けないということだ。

そこでぼくは思うのだけど、
日本はいつまで対岸の火事場にいられるのだろう?

制度が変わってアメリカと同じになってしまえば、
日本も対岸ではすまなくなる。 貧すれば鈍するのだ。
数百万円の蓄えなんて、あっという間になくなるだろう。
営利を追求する保険会社に見捨てられ、家も仕事もなくなる。

小泉政権、もとより自民党政権が長引けば、
そうなる可能性もあったのだ。

いずれにしても「不健康」は割に合わない。 全然合わない。
そのことは、強く認識しておいて間違いない。

バレンタインデーだというのに、こんなシリアスな話で申し訳ないです。 スーパーポジティブが身を滅ぼすこともある、ということも忘れないでいましょうね

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10 件のコメント

  • アメリカのこの問題については、私も以前から「先進国としてあり得ない話」として色々思うところがありました。
    そして最終的にいつも思うこと。
    どうして多くの日本人はこんな国アメリカに憧れるのだろう?どうして彼らがやっていることはすべて先進的で正しいと思うのだろう?
    不思議でなりません。。。

  • 貧すれば鈍する。手に負えなくなったら民間会社に委託する。現実に対処するなら、それが国にとっては一番楽な解決策なんでしょう。なおきんさん同様私もオバマさんを責める気持ちはわかないです。ただただ、長期的な見通しは捨てず、国民が望む保険制度の実現にむけて働いてくれる人材がいることを願うばかりです。アメリカ人を家族にもって、帰りたいけど帰ると保険が…と悩む人もいますから。
    ブログで紹介されたような状況に自分はいない、それだけで安堵するのが正直なところですが、貧すれば鈍す、いつでもこうなる可能性はどこにいてもあるものだと理解しています。とりあえず、自分がアメリカに住んでいないことがラッキーだったか、と思うにとどめておきます。

  • 『ER』はカッコいいドラマだったけど…後のお支払いが大変だな、と思って見てました。

    小泉さんと石原さんをワタクシは認めません。
    医療と教育を、よりダメにしたからです。

    オバマさん…『チェンジ』って大変だなと。

  • へえ〜そんな国があるの、どこだろう?なんて思いながら読んでいたら、アメリカじゃないの!確かに、医療費がバカ高いけどね、これは元はといえば患者が何かといえば医者に訴訟を起こしてお金を取ろうとするから、医者もそのためにお金を貯めなくてはならなくなって、高額な医療費になったって話もあるのですよ。つまり、今の日本も気をつけたほうが良いという考え、同感です。私は低所得者なので、政府が作った保険のようなものを使っています。でも先日は、息子の風邪で病院に行った時、その手続きに間違えがあったそうで、60ドル取られました。薬代は約50ドル。薬代は仕事場から出してもらえたけれど、60ドルは返してもらえるはずのお金なので申請しませんでした。でも未だに戻ってきません。手続きを間違えたのは、ソーシャルワーカーであって、私じゃないんですけどね。ソーシャルワーカーいわく、【今不況で、たくさんの人がこのシステムを必要としているのに、急に8人も解雇されたので人員が足りないの。】という言い訳でした。だから間違えて、私がその代償を払うそうです。付け焼刃的な対処方をしていると、どんどん泥沼に落ちていく気がします。でも自分が良い方法を知ってるわけではないのですけど。

  • 高度医療が発達すればするほど長生きできますが
    お金はかかりますよね。

    生まれるときは自分の意思ではなかったのですから、
    せめて、自分の幕引きぐらい自分で決めたいものですね。

    どうして、そういう普通の事が普通ではないのでしょう?
    苦しみつつも死ぬまで何かの業界に貢献しろという
    強制とどこが違うのでしょう?

    余力のあるうちに、みなさんにちゃんとご挨拶
    をして、引き継ぐものを引き継いで安心して
    ハッピーエンドを迎えたいものです。

    生き方、それをもっと尊重して欲しいですよね。

  • アメリカ在住時に、この点について深く考えたことがなかった自分は甘いな〜というのが読後感です。確かに高いな、と思いながらも駐在員の医療費は会社が見てくれる。現地スタッフとはそうした生活の話はNG。日本も含めて先進国の高度医療と、税金の話は表裏一体だと思うのですが、いわゆる「アメリカ式標榜型」のモデルはいろんなところで上手くいかんのかなあ、と考えさせられたりします。見かけ上「オープン」で「自由」なアメリカに惹かれたりする訳ですが。まさに、オバマさんをして変えられない根本の病巣は深いですよね。。

  • なるほど・・そうだったんですね。
    わたしも人ごとじゃない話なのでなんだか
    うなずきながら読んでました。
     医療費のために働いているのかなんなのか
    よくわからないぐらいお金がかかっているので
    なんだか他人事とは思えない
    お話です・・・・

  • こんばんわん♪
    ほんとに医療費は大変・・
    だから、オバマちゃん提案の保険制度に反対するんだろう?って不思議ですよね。ただ、結構自己中的な性格が多いU.S personnel?(全ての人とは言わないけど)今まで保険代を個人で負担してきた人にとっては割りに会わない制度?なんでしょうね。国民性?難しい問題はよくわかりませんが・・・どこか反れているのは、わかります。
    バレンタイン♪近い所だったら、なおきんさんに、チョコあげたかったなあ:)

  • この度のトヨタとホンダのリコール騒ぎ、ニポンにとってアメリカとの関係を再考するきっかけになるのではないかな?
    トヨタって言う会社はホント悪運の強い会社じゃワイ!

  • riesenmausさん、一番ゲットおめでとさまです。
    アメリカは変わりました。かつて夢と自由の象徴だった国ではもうありません。 いささか金持ちを優先しすぎた金融資本主義が過ぎたのかもしれませんね。
    ————————
    ぱりぱりさん、軍と医療、こうした安全保障基幹産業を民間に任すのはまだリスクが高いってことですね。米国を見ていると、日本や欧州では当たり前の国民皆保険がいかにありがたいかというのがわかりますね。
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    もぐさん、たしかにそうですね、ER。 小泉政権はいろんなものを壊してくれました。もちろんデメリットばかりではありませんけど。特に対米従属度を高止まりにさせたのは罪深いです。 竹中さんもずいぶん米国に貢いでくれましたね。
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    ぷうさん、なるほど医療費が以上に高いのは「訴訟社会」の側面もあるのですね。MSW(メディカルソーシャルワーカー)のありかたも、日本と米国ではポジションが違っていそうです。それにしても米国人、「不健康は金がかかりすぎる」ことを実感しているわりには肥満大国なのはまたどうしてでしょうね。
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    HUさん、「長生き」は同時にリスクでもありますね。未来は残貯蓄に応じて寿命を決められてしまうような社会になるかもしれませんね。自由とリスクは相応するわけですが、アメリカを見るにつけ、ものには限度があることを感じさせられますね。
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    ぽにょさん、慢性医療患者は病院や医者から見れば大お得意様ですからね。 ときどきほんとうに治す気があるんだろうか?と思うくらい薬漬けにする医者もいます。いずれにしても、患者力を上げ薬に頼らない生活も必要ですよね。
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    まるさん、>オバマちゃん提案の保険制度に反対するんだろう?って不思議ですよね< 理由はそれによって利害が損じる業界があるからです。そして彼らもまたオバマさん当選のために政治献金をしていたというわけです。彼らって? いま日本でもさかんにTV-CMをやっている人たちです。こわいですね。
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    じゅん爺さん、いやあ今回のトヨタのリコールさわぎは、どうやら米国にある部品メーカーに原因があるとか。 米トヨタの車はは地元で生産した自動車を地元で販売して地元の人たちが買うわけですから、ほとんど米企業のそれと変わりありません。1990年前後のバブル時代と大きな違いはそこですよね。

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    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。