普天間基地問題はどうなったのだろう?
わかっていたことだけど、やっぱり鳩山さんが退任したとたん「普天間基地問題」についての報道が激減した。ここまで極端ならば、その不自然さを問う声があってもよさそうなのにと思う。
そもそも「普天間基地移転」を問題にした目的は何か?
ぼくは、外務省官僚らによる鳩山・小沢バッシングのネタにされたのだろうと思う。 問題の本質は「なぜ普天間基地をそのままにしていたか?」だったはずなのに、いつの間にか「県外に(期限内に)移転できなかった」という問題にすり替えられていたのはこのためだ。 「そのままにしていた」のは他ならぬ彼らの責任である。
あげく、その問題を解決できなかったとして鳩山政権は自沈。 小沢さんもろとも官邸を去ることとなる。
目的が達成されれば、あとは普天間基地がどうなろうと野党自民党や官僚、それからマスコミらの知るところではない。 報道陣は一斉に腰を上げ、ぱんぱんとお尻を払い、沖縄からマイクのプラグを抜き、カメラをバッグにしまいはじめた。 もう沖縄には用はない、というわけだ。 沖縄県民の心情をなんだと思っているんだろうか。 これじゃまるで、物乞いのレンタルチルドレンだ。 あんまりである。
1989年、日本がバブルに染まっていたころ、
東欧では次々と共産党政権が倒されていった。 ハンガリーでチェコで、ポーランドで、東ドイツで、そしてクリスマスを迎えるころにはルーマニアでチャウセスク大統領が民兵に処刑された。 そして共産党の総本山であるソ連までが存亡の危機に迫っていた。 翌年、東西ドイツ統一。 東西陣営による冷戦は去りつつある。 極東からソ連の脅威がなくなり、したがって在日米軍も徐々に引き上げるのだろうと思われた。
結果はそうはならなかった。
在日米軍は居座り続けたのだ。ではなぜ米軍は日本から去りもせず、縮小もしなかったのだろうか?
「中国や北朝鮮の脅威があったからだ」と世間は思う。 ぼくもそう思っていた。 仮にそうだとしても、それならそれで自衛隊を米軍に代わって拡張配備させれば良かったのだ。 しかしこの国にその発想はない。 極左集団 日教組に育てられたぼくたちは、知らず知らず「軍備は悪」と洗脳されているからだ。
じゃあ、去ろうとする在日米軍を引き止めたのはだれか?
なんと日本の官僚であった。
それに牛耳られた日本の官邸であった。
いわゆる「おもいやり予算」とは、米軍に駐留してもらうため政府が用意した買収金である。 これが年間数千億円捻出される。 過去20年間にわたって払い続けられ、ついには累計数兆円にもなる。米兵ひとりあたり1千万円もの予算を補填しているのだ。 まったく貢ぐにもほどがある。 沖縄はバグダッドやカブールとはワケが違う。 観光客でにぎわう平和で美しい島だ。 身の危険性もない。 だのにこんなにもお手当てがつくのだ。 そりゃあ米兵は去り難いだろう。 文字どおり楽園なのだから。
反面、現地の住民にとって米軍は危険でありパワーハラスメントな存在である。 だいいち沖縄にいる在日米軍が日本と日本人を守るなんて、誰が言ったのだ?
普天間基地に話をもどす。
通常、軍事目的の空港にはクリアゾーン(人が住まない地域)が必要だ。 嘉手納基地にはあるが、普天間にはこれがない。 基地の周辺には民家が隣接している。 住民にとってはとても危険なのだ。 もとは太平洋戦争時、上陸した米軍が急こしらえで設営した飛行場。 つまり日本本土を爆撃する目的で作られたのだ。 なんとも皮肉な話ではないか。 やがて朝鮮戦争で、その後ベトナム戦争で使用され、1985年には閉鎖、沖縄に返還される予定であった。 いわくつきである。 そもそもなくすべき基地であり、必要がない基地なのだ。
じゃあ、だれが普天間を残し米軍を残したのか?
ほかでもない、官僚と自民党政府であった。 対米従属を続けることで、その利権と暴利をむさぼっていた人たちであった。
そんな人たちが自分の犯した罪を棚に上げ、むしろこのいわく付きの普天間問題を解決しようと、政治生命を賭した鳩山さんをワナにはめてつぶしたのだ。 マスコミは常に官僚の味方だからこれに与する。 彼らのもくろみはあたり、世論は形成された。 国民はまるで鳩山さんが普天間問題を起こしたかのように、彼を責めまくった・・・
とんだ茶番だったのだけど。
しかし彼らもお灸を据えすぎた。
敵に盛った毒に、自分たちがやられそうになった。
鳩山さんや小沢さんをハメるつもりだけの普天間基地問題が、高じて沖縄県民をして「米軍よ出て行け!」とデモをするようになってしまった。
これにはさすがに官僚もマスコミも焦った。
沖縄から米軍が引き上げてしまっては元も子もなくなる。 これまでの苦労が水の泡である。 そうならないよう世論誘導してきたマスコミは慌て、外務官僚たちは直ちに沖縄からカメラを引き上げさせた、というわけだ。
基地移転のタイムリミットを守れなかった鳩山さん。
けれども前首相が掲げたマニフェストのうち、たった数ヶ月の就任中で70%も公約が守られていた事実は意外と知られていない。 マスコミは成果については語らないからだ。 そう、国民に評価させないために。
ぼくは別に鳩山さんの肩を持つわけではない。 もともと思想的にも合わないひとだ。 でも国民として首相は尊敬したいし、公平に評価すべきは評価すべきだと思う。 それゆえ、実力を出し切るまえに潰されたことをとても残念に思う。
「何がどう、報道されたか?」を知ることは大事だ。
けれども、情報過多なこの国において「何が報道されなかったか?」について知ることは、それ以上に大事なことだと思う。
コインの裏にこそ、真実があるのだ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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