ちかごろ奇妙なCMを見かける。
パチンコのCMだ。
滅多にテレビを見ないぼくが、それでも見かけるのだから連日相当なクール数が放映されているのだろう。
ご存知だろうか?
パチンコこそは、この国のタブーである。
パチンコにまつわるさまざまなタブー。 恐ろしいのは、パチンコを批判するものは静かに抹消される可能性すらあるということだ。 あれはただのギャンブルではない。 覚せい剤と同じ、強い依存症を誘発させる麻薬だとぼくは思う。 しかもタチが悪いのは、麻薬は犯罪として取り締まれるが、パチンコはそうではないということだ。
パチンコをしない人からすれば、なぜあんなに熱中してしまうのだろう?と不思議に思うはず。 でもその理由はちゃんとある。
「パチンコ脳」がそれだ。
パチンコをしているとき、そのひとの脳内は神経伝達物質がどくどくと過剰に分泌されている。 とくに行動を活性化させるといわれるドーパミンとノルアドレナリン、モルヒネと同じ働きをするエンドルフィンがそうだ。 逆に制御系のセロトニンが低下しているから、抑制力が働かない。 反作用として、興奮した脳を鎮静するためにコルチゾールが分泌され、一気に沈静化する。 パチンコのあと、なにもする気がなくなるのはこのためだ。 さらに、脳には快感を得たいという記憶が残っているので、それを満たそうと、また衝動的にパチンコをしたくなるのだ。
はっきりいえば、これはれっきとした病気である。
パチンコ店は人口の多い都会にももちろんあるけれど、さびれた町にもひときわ目立つ存在だ。 一人当たりパチンコ台数はむしろ地方に多い。 よって中毒者の割合も多い。 ぼくも日本のあちこちに出張や旅行で行くけれど、うらぶれた商店街や道路脇に突如まばゆいばかりのパチンコ店に出くわしてびっくりすることがある。 ろくにひとが歩いていない場所で、そこだけが賑わっていることもある。 まるでその町の収益がその一店に集中しているかのようではないか。
さてこのパチンコ。
こんなものがあるのは世界でも日本だけである。
いや、おとなりの韓国にもあった。
全国で15,000店もあり、3兆円市場というれっきとしたレジャー産業であった。 だが、2006年の秋に全廃され、いまは一店も残っていない。 闇パチンコ店はつぎつぎに現れたが、つど徹底的に撤廃されて今日に至るのだ。
ではなぜ韓国ではパチンコ店が廃止されたのか?
それが社会的に深刻な依存症を生む麻薬だからである。
依存症なのはその人自身だけではない。 社会もまた、そうなのだ。 ヤクザ、マスコミなど、もろもろの権力者たちがこれを牛耳っている。 加えて警察、あまり知られていないけれどパチンコ業界は彼らの天下り先でもある。 おっとそれから政治家も。 民主党の「パチンコ支援プロジェクト」には、正直ひっくりかえりそうになったものだ。
官民あいまみれてのパチンコ業界支援。
いったいどれだけの裏金が動いているのだろうか?
「パチンコに夢中で子供を車内で死なせてしまった主婦」
最近ではあまり聞かなくなったニュースだけど、こうした事件がなくなったわけじゃない。 ただ、都合が悪くなって報道できないだけである。
前述の「韓国でのパチンコ店撤廃」のニュースなんてこれっぽっちも報道されなかった。 ぼくはたまたま別の理由で韓国の新聞サイトを見ていて知ることになったが、むりもない。 パチンコ業界こそは、いまもっとも金払いのいいCMスポンサーである。 当然、番組内でもパチンコのタブーは一切放映されない。 したくても出来ない。 彼らがお金を出さなければテレビ業界はもたない。 タレントも出演する場がなくなりギャラがもらえなくなる。 もう誰も批判できないのだ。
恐ろしい話である。
ちらちらとウラに北朝鮮の姿も見え隠れしたりもする。
いったいこの国に正義の味方はいないのだろうか?
いや、それは望むべきではないだろう。
ぼくたちひとりひとりが行動を起こすしかない。
自らパチンコを止め、大事な人に止めさせればいいのだ。
『レジャー白書2010』によれば、パチンコの参加人口は1720万人、2009年の市場規模は21兆650億円で前年より6510億円減少した。近年、急激に客離れが進み、市場規模が縮小している。パチンコチェーンストア協会によると、就業人口は約44万人であり、就業人口に対して売り上げが大きいとされる。現在は娯楽の多様化や、古臭いイメージによる若者離れ、高くなったギャンブル性と依存性が指摘され、ピークの参加人口からは年々減少し現在過去最低水準にある。
1720万人もの人たちが、いったいどれだけの時間をこれに費やすのだろう? 加えて、ひとり当たり平均13万円ものお金が毎年毎年財布から消え、そして戻ってこないのだ。
パチンコ人口には主婦や年金生活者も多い。 なけなしのお金なのだ。 また、この市場のおかげで44万人もの就労機会を作っているとメリットが強調されることもある。 だけど(言いにくいことをあえて口にすれば)、パチンコ店で働くひとたちの、はたしてどれほどがその仕事に誇りを持っているだろうか。 そもそも21兆円もの巨大市場ならば、少なくとも百万人以上の人々が仕事につけるはずである。 就業機会はむしろ奪われてんじゃないかとぼくは思う。
「・・・パチンコ人口は年々減少しつつある」
一筋の光明を見る思いではないか。
日本人はそれほどバカではない。
ぼくはそのことを強く信じている。
コメントをいつもありがとうございます。
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