米国もひどいが中国もひどい。
そういうと「中国は高度成長期だからいいのだ」という経済学者とか出てきて、話がややこしくなる。「まるであのころの日本のようだ」なんてことを言う。
かつて日本やドイツがたどってきた高度成長期は、消費者物価指数は上がるが、卸売物価指数は横ばいかむしろ下がっていた。これが経営革新、技術革新によって経済成長がなされたという何よりの証拠である。企業がモノを作り、それを買う国民生活が豊かになっていく。庶民が買える値段でモノが売られてはじめて、豊かさが実感できるというものだ。
GDP世界第二位になった中国はどうか?
日本のケースとは逆で、消費者物価はどんどん上がるが、卸売物価の上昇率がそれをはるかに上回る。そんなの、企業が儲けたお金が再投資されていないか、していても失敗してるか、そもそも儲かっていないかのどれかだ。
インフレにともない、いくぶん労務者の給料は上がる。が、それをはるかに超えて物価が上がっていてはアダとなる。これはブラジルやインド、ロシアなど他の新興国も同じ。加えて、経営者は脱税を決めこみ、儲けがでても帳簿につけずキャッシュで溜め込む。それをある日こっそり持ち出して、香港などの不動産をぽんと買う。はやい話がマネロン(資金洗浄)である。おかげで不動産が高騰し、家賃が跳ね上がる。あんまりである。これじゃ香港の賃貸住民がかわいそうだ。
いずれにしてもせっかくの経済成長がちっとも人民の役に立ってない。企業が儲からなければ、そりゃあ就職難にもなる。中国の大学は95年から利益団体となり、どこもお客(学生)を集めるために必死である。うちは就職率がいいですよと勧誘にいそしむ。卒業するには内定証明書を必要とし、内定をもらえない学生を卒業させないことにした。未就職者を出さなければ就職率は下がらないし、留年すればそのぶん授業料もとれるからだ。一石二鳥、ていうかこれじゃ詐欺である。中国の失業率は公式には4%。うそっぱちだ。実態は10%を超えている。
北京や上海など大都市に住む人たちの年収は、全中国平均の8倍もある。そんなひとたちでさえ標準的なマイホームを購入するに年収の13~15倍かかるという。日本だと、世帯年収600万円の家族が9000万円の物件を買うのと同じである。しかも年利は日本より高い4%。30年ローンなら返済総額1億5千万円を越え、月々の返済金は43万円もする。手取り給料と変わらない。30年どころか、ひと月ぶんだって払えない。そりゃ暴動のひとつも起こしたくなる。当局に暴力的に阻止されるが。
そもそも経済成長率が9%というのもあやしい。例えば中国の経済統計をみると自己資本利益率は、なんと5.6%のマイナスとある。利益は出ていないのに経済が成長しているのだ。いったいなにによる成長なのか、ていうかそもそもマネー供給過剰によるただのインフレじゃないのか。
なにかと信用できない中国ではあるけれど、政治力はなかなか手練れている。なにしろあれだけ人の言うことを聞かない人民を治めているのだ。日本の政治家や官僚も外交でころりとやられる。日本のマスコミも、中国当局のスポークスマンに手なづけられている。そんな中国も米国や欧州の政治家相手に苦戦する。つまり、それだけ日本のレベルは低いということだ。
残念なことである。
でも思うのだけど、もし力のある政治家たちが日本を治めていたら、こんなに民間の力が育たなかったかもしんない。「ああなっちゃおしまいだな」という反面教師をやってくれたからこそ、国民はたくましく育ったのだ。このまま国に任していたらダメになると自ら切磋琢磨したのだ。
与党も野党もマスコミも、寄ってたかって管さんをなじりながら、
ほら見て、日本がひとつになってる・・・
ありがとう菅さん。それと残念な政治家さんたち。
こんな政治家やマスコミが中国にいたら、
それこそ日本にとって驚異である。
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