生きにくい時代である。
自由はますます奪われ、窮屈になっている。
何がそれを物語っていると言われれば、服装だ。
特に仕事着。サラリーマンのスーツ。
紳士服売場に行けば、あらためて思い知らされる。
デザインにほとんど差異がなく、色は紺とグレーばかり。
ワイシャツは白ばかり。靴下は黒ばかり。
ネクタイは・・・これはまったく売れないそうである。
変化のつけようがないし、個性の出しようもない。
そもそも、個性を前に出して減点されては元も子もない。
そんな意識が、服装と態度にあらわれる。
いま、この国では目立ってはいけないのだろう。
今の仕事、会社にしがみついてないと後がないという切迫感。
それが蔓延している。不安から異常発生される自粛ムード。
失敗が許されない会社。冒険が許されない社会。
ぼくたちに共有されているのはそんな強迫観念だ。
外ではできるだけ目立たないスーツを着て、
たまったうっぷんをネットではらす。
そんな暮らしが垣間見える。
就職シーズンに限らず、黒いツーピースを着た女子をよく見る。
誰が決めたのか指示を出しているのかしらないけれど、
だれもみな、おんなじ格好である。まるで愛国婦人会。
「パーマ禁止、派手な色禁止、ブラウスは白、スカートの丈は」
ここに2枚のJALの入社式の写真がある。
2010年のものと1986年のもの。違いは明らかだ。
意味もなく、クローゼットの奥から
ライトグリーンのスーツを引っぱり出したくなる。
一世を風靡した、だぶだぶのやつ。 セピア
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