1年に2回の割合で新しいカメラが欲しくなる。
正確な理由はわからない。ただ欲しくなるのだ。
メーカーもモデルも流行りも何もへったくれもなく。
実際にはここ4年で4台購入した。
それでも2回に1回は買うのを我慢した計算になる。
遺伝だろうか。
広島の実家にはカメラが20台近くある。
ぜんぶオトンのコレクションだ。
ぼくの歳くらい古いものもあるし
どれも安くはないことは素人目にもわかる。
若いころはカメラマンを目指し、
今でもあちこちのコンテストに出品しては
なにかしらの賞をとっているオトン。
週末はヌード撮影会にも顔を出すそうだ。
神妙な声でオトンは言う。
「命あるものを撮りたいんじゃ」
服着てちゃダメなのか。オトン。
70にしてフォトショップを使い始めたオトン。
ワープロすら使ったことがないのに、いきなりだ。
たまに電話で使い方を聞いてくるが、
たいていはぼくも使ったことのない機能だ。
メールも使えないくせに、ブラシは使える70歳。
インターネットはよう好かん!と言い切る70歳。
頭がカタイのか、やわらかいのか。
次にカメラが欲しくなったら、
どれがいいか意見を聞いてみようと思う。
インターネットではなく、
オトンに。
きっといまごろは、
天体望遠鏡カメラで月を撮っているはずだ。
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