ラオスと聞いて「ああ、あの国ね」と答えられる人は、日本にどのくらいいるんだろうか? タイやベトナムは知られるが、ラオスは案外知られていない。「ASEAN10カ国の国名をあげよ」と問われ、最後まで出てこないのがラオスかもしれない。クラス会でなかなか思い出してもらえない旧友の名前のような国、それがラオスである。あんまりだけど。
なぜ知られないかは明らかである。
有名な観光名所がないし、ラオス出身の有名人もいない。小国ゆえ、世界へのインパクトも少ない。そもそもイメージが思い浮かばないのだ。かろうじて「ラオス?村上春樹の本のタイトルにあったやつ?」という知り合いがいた。良くも悪くもそれが限界かもしれない。
▲ ヴィエンチャンのランドマーク 凱旋門
ラオスの人口は716万人(2015年)、ちょうど香港と同じくらいである。だがその伸びは香港を圧倒する。1980年、香港の人口は510万人、ラオスはそれより200万人も少ない325万人。それが今追いつきつつある。わずか30数年で人口が倍以上になったというわけだ(日本は60〜70年かかった)。ラオスの人口について、国連の資料を参照してみると・・・
- ラオスの人口ピラミッド(2016年)
20歳以下は若干伸びが減ってはいるものの、キレイなピラミッドである。高齢者が極端に少ないが、これはラオスの街を歩けば一目瞭然である。平均年齢は22歳(!)というから、すごい。東京オリンピックの1964年、高度成長時代の日本ですら29歳であったことを思えば、これから50年以上は人口ボーナスと共に高度成長が期待できそうである。
- ラオスの人口推移(1950 -2100 )
人口はこれから60年近く増え続け、2075年にピーク(1千万人強)を迎える。日本の人口ピークが2015年だったことを照らし合わせれば、今のラオスはちょうど60年前の日本のような状況にあると言えそうだ。まさに高度成長をこれから迎えようとするあの日本である。
ちなみに日本の人口ピラミッドはこれである。
- 日本の人口ピラミッド(2016年)
平均年齢49歳の、これが日本の姿である。人口ボーナスはとうに、ない。日本の人口ピークは1億2千700万人である。2100年には4千万人まで減るという(総務省調査資料、国連の資料では8300万人と乖離がある)。
今のラオスは60年前の日本。
その頃の日本の世帯収入はわずか4万円ほど(総務省調べ)。年収にして50万円足らずである。ラオスの一般家庭の月収は4万5千円(年収約50万円)というから、ほぼ同じである。2016年の日本人の平均世帯年収が542万円とあるから、ラオス人の収入がこれから数十年のうちに今の10倍になってもまったく不思議じゃない。ずっとグローバル化が進んでいることを考慮すれば、10倍になるのにそれほど長くかからないかもしれない。数年前に比べ、首都ヴィエンチャンにおいて乗用車の交通量がものすごく増えたという。確かに都市を走っているのは新型車(半数は韓国製)が多いのが見てとれる。中間層が増えたか、ローンが組めるようになったのだろう。
これまでおとなしく目立たなかった国も、今や世界経済の只中にある。2016年12月に発足したASEAN経済共同体(AEC)の好循環も生まれる。政治体制は社会主義国のままであるが、国を開き、外国資本を積極的に受け入れる策に出てもいる。経済成長率は2007年以後、ほぼ横ばいで7.5%。日本の高度成長時代(1956-1974平均9.1%)よりは低いが、今の中国より高い。
▲ 完成予想模型のワールドトレードセンター、居住者向けマンションも敷地内に
首都ヴィエンチャンですらコンドミニアム(高層マンション)がほとんどないラオス。他のASEAN各国では次々に建つ(少々過熱気味ではあるけれど)のに、極端に少ない。そんなところへ外国人でも購入できるコンドミニアムがいくつか建つ計画があるというので、さっそく視察してきた。カンボジアやミャンマーでは集中して建ち過ぎたため、ここ最近価値が下落しているという。その点ラオスはほとんど手付かず状態である。最後のフロンティアと言われるのも理解できる。
▲ ワールドトレードセンターのショッピングセンター部分
5階以上の建物が少ないヴィエンチャンにあって、20階建以上の外国人向け(駐在員、移住者)コンドミニアムがようやく竣工予定である。予定地にあるオフィスで配られている資料は中国語がほとんど。買い手は中国人投資家がメインのようである。すでに稼働しているコンドミニアムでは家賃がツーベッドルームで1500ドル/月もする。この国の物価で10万円以上はいかにも高い。おそらく過小供給のため高騰しているのだろう。物件はワンベッドルームの間取りで1200万円前後。これで家賃10万円徴収できれば表面利回り10%である。その上この国の成長率を考えれば、確実に値上がりする。気がかりは物件管理業界が未熟なのと、他の住居用建物の乱立である。
▲ 中国資本の巨大コンドミニアム群 完成予想模型 27棟も建つという、中国人好みのコテコテ過剰内装
これを買いとみるかそうでないかは、ただの数字合わせで考えるかそうじゃないかの違いだと思う。ぼくは海外移住・ロングステイサポートビジネス事業を立ち上げるにあたり、各国の銀行との付き合いが必須条件になる。信用にせよ借り入れにせよ、担保になるものが必要だからだ。ここラオスで物件を所有しておくのは、悪くないと思う。
ラオスにいったい何の投資があるというんですか?
ずばりラオスの成長そのものである。国民が増え、それぞれが豊かになりたいと願っている。世界から見れば今はまだ貧しい小国かもしれない。でも、驚くほどの治安の良さと人々の勤勉さ。物静かだけど、周囲に迷惑をかけないよう細かく確かな気遣いがある。ぼくたち日本人にとってそれば、かつて通ってきた道、超えてきた山や川ではなかったか? 60年前の産業がいまどうなったか?社会基盤がどう発展したか? 土地がどんな値上がり方をしたか? そして家庭の収入がどのように上がってきたか?
ラオスの街を歩いていると、ふと自分は未来からやってきたのではないか?と思うことがある。だから懐かしくもあり、殺伐とした気持ちが和らいでくるのかもしれない。かいま見えるのは、先祖に出会ったような不思議な既視感だ。
▲ メコン川に沈む夕日(対岸はタイ領です)
個人投資家の皆さん
ラオスはいまが買いです。
ていうか、あんなに素晴らしい国
中国人ばかりに開発させたくありませんね。
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