会社を辞めてから、まもなく貯金がなくなった。
自分で書いていてもドキッとさせられるが、本当だからしょうがない。いくつか定期預金も解約した。「あんたそれで生活はどうするの!?」などと、家族が聞いたら卒倒しそうである。友人なら「野垂れ死にするつもりか?」「おまえに貸せる金はないよ」などといいそうである。それで友人かどうかは別の話だが。
サラリーマンという定期収入あっての貯金である。そもそも銀行に預けられたままでは死に金も同然。ぼくは後半の人生、積極的に打って出る選択をしたのだから、金にそうやって死んでてもらっては困るのだ。3ヶ月分の生活費を残し、あとはかたっぱしから投資に回した。サラリーマン時代は、お金を作るために働いた。悪くはなかったがこれからは、資産を作るためにすべきことに切り替えた。おそらく投資した半分は紙くずかボロ鉄になるのだろう。でも残りの半分が、いや1割でも成功すればやる価値がある。まして2割が成功すればもう御の字である。それをぼくは5割の成功を目指す。投資先の半分は自分へだ。ポンコツかもしれないが、かれこれ50年以上の付き合いがある。失っても諦めがつく。
経済活動をとおして富を形成するには、ふたつの方法がある。
毎年の収入を最大化して、それを貯めていく方法と、資産を保有しその価値を高めていく方法である。前者はフロー所得で、後者はストック所得。フロー所得の典型はサラリーマンだが、個人事業主の多くもフロー型である。たしかに脱サラをして個人事業主になれば、稼ぎのすべてを自分のものにできる。実力があるならそうすべきだ。かつてドイツや香港でぼくがやったのも、それだった。だが、商品と顧客があまりに流動的で、ビジネスを安定して継続していくのはたいへんだ。今年は調子が良くても、翌年そうとは限らない。自分の身体が労働資本であるかぎり、そこがボトルネックになる。病気などで店を閉めれば自分の首も絞まるのだ。
ひとりの力でフローを最大化するのは難しい。だから組織に属すのも手だ。これがサラリーマンとしての生き方である。そこを卒業したいま、それぞれの仕事を組織化して、規模の大きなビジネスに仕立てる。組織化とひとを雇って組織を作るのは、似ていいるようでまったく違う。前の時代なら、銀行から融資してもらい(他人のお金)、ひとを雇って働いてもらう(他人の力)方法が普通だったが、いまはインターネットがある。省力省コストで最大限の価値を生むことが可能だ。
1996年、ロンドン。
あろうことかぼくは、そこでビジネスマンたちを相手に「インターネットとは何か?仕事でどう活かすか」というテーマで、ビジネスセミナーの講師をやったことがある。まだ20代の若造だったぼくがベテランたちを相手に一席ぶてたのは、話題の新しいツールであり、だれもが等しく同じスタートラインに立てる新しいビジネスモデルだったからである。
2016年、東京。
ネットビジネスとはいえ、商材そのものはフロー収益に過ぎないが、デジタル資産と顧客資産が積み上がればストック収益のそれになる。限りなく省力で、限りなく省コスト。これまで大きな組織でしか出来なかったことが、ひとりでもできるようになったのが今だ。規模のメリットすら得にくい中途半端な組織では、オーバーヘッドが利益が食われてしまい、個人事業者に負けてしまうだろう。
2016年型ストック型ビジネス指針は、以下のとおり
- 極力銀行融資は受けず、自己資金で行う
- ひとは雇わず、業務提携&アウトソースを活用
- 集客はリアルを含めても、市場はインターネットに限る
- 自分の身体を、時間と場所から自由にしておく
- 億万長者(現役)とのネットワークをもつ
売上規模が億のレベルになるまではこの指針でいこうと思う。なおきんごときが寝言を、と思われるかもしれない。いまの銀行残高を見れば、だれだってそう思う。ともあれ、これではいささか抽象的なので、進捗についてはいずれ報告します。寝言だったね、と笑われるかもしれないが。
どの会社にも役に立ててない従業員がいる。
まるで超低金利で銀行に預けている死に金のように。
いうまでもないけど、さっさと働きに出したほうがいい。
世界はもうそれほど甘くはないのだ。
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