その日にやる一番大事なことは、朝起きてすぐにやる。
そう決めている。でないとぼくは、いつまでもダラダラとやろうとしないからだ。そのうち「明日やればいい」となり、明日になってもとりかからない。大事なのにやりたくないことを素早くやるためには、あるいはしなくていいことを止めるためには、意志の力が要る。継続にも意志の力が必要なことは、誰もが知るところである。
意志が強い人もいれば、弱い人もいる。
ところが人のもつ意志の力は、わずかしかない。1日に使える意志は決まっている。
最新旅客機ボーイング787は片道15,700kmもの距離をノンストップで飛べるが、そのあいだパイロットが操縦するのはわずか7分しかないという。あとはぜんぶオートパイロットである。そのうちパイロットは要らなくなるんじゃないかと思う。もしくは失業対策のために、7分だけ残しておいたのかもしれない。
そんなボーイング787のオートパイロットのように、人間もまた、95%はまいにち同じことを繰り返し考えながら暮らしている。同じパターンを繰り返し、良くも悪くも習慣の中で生きている。
やるべき新しいことは、慣れないからかなりしんどい。途中でなんどもやめたくなる。ターボ噴射のように短いが勢いのある意思の力は、このためにある。一日わずかしか使えない意志の力を、ここぞとばかりに使う。それを一定期間くりかえせば、これが新しい習慣としてに身につき、自動操縦で航行できるようになる。ある目標をたて、そのためのマイルストーンを描く。それをこなすにははじめこそ意志の力が要るが、以降は習慣によって身体が自動的にうごくようになる。目標に到達するというわけである。
図にするとこんな感じだ。
始めたばかりは勢いがある。
気負いもある。だからやることにそれほど抵抗感はない。だけど3日もすれば、しだいにめんどうになってくる。なんでこんなことしなくちゃいけないんだ、とふり返りたくもなる。さらに、古い習慣が甘い言葉をささやきはじめる「やんなくていいんじゃないか?」「いいんだよ、明日で」とかなんとか。元に戻そうとする別の自分も登場する。「やったっただけ損だよ」「どうせこの先いいことなんかないんだから」とかなんとか・・・ 実はこのとき、機体は大気圏めがけてぐんぐん上昇しているのだ。エンジンフルパワーである。空気の抵抗も強く、気温はぐんぐん下がってくる。我慢、忍耐、努力、根性・・ふだん忌み嫌われるキーワードが次々と浮かび、闇に消えていく。
ある日の朝、同じ作業に取り掛かろうとするときに気づく。
そういえばもう辛くない。と
考えなくても、身体が勝手に動く感じがある。自動操縦に切り替わった瞬間だ。このために生きてたんだな、と思えるくらいにすっきりと気持ちがいい。「意志が強い人」というのは、正確には意志が強いんじゃなく、ここぞというときに意志の力を使える人のことをいい、「意思が弱い人」というのは、どうでもいいことにそれを使いすぎて、肝心なときに残ってなかった人のことをいう。二者の意志力の容量は変わらないのに、結果がまったく違うのである。
大事なことは朝起きてすぐにやる。
まだ意志の力が、跳ねるように新鮮なうちに。
めんどくさいをなくすたったひとつの方法
それは意志の力を最大限利用することです。
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