どうした? 女にふられて、男を捨てたか?
イタリアで女の子にフラレてモロッコまでいってきたと報告すると、友人たちはきまってそういった。「男を捨てる」というのはつまり、アレをちょん切る(性転換手術)ということである。モロッコは当時、性転換手術をするところで有名だった。カルーセル麻紀などはモロッコで手術を受けた。カサブランカにデュ・パルクというクリニックがあり、世界中から希望者が殺到していたらしい。相場は5000USドルだったらしいが、高いのかどうか相場観がまったくわからない。
もちろんぼくは男を捨てたくなったわけでも、カミングアウトしたわけでもない。スペインのアンダルシアへ向かう途中出会ったモロッコ人父娘と、成り行きにまかせたらそうなったというだけのことである。むしろ人生そのものが成り行きなのではないか。いくつもの選択肢の中から何かを選び、何かを捨てていく。成り行きそのものが意思である。
「モロッコといえば性転換手術」という不名誉な第一印象は時代とともに変貌し、いまではアルガンオイルやダマスクローズに代表されるように「女子力がアップする国」のイメージが定着している。加えてハマムでモロッコスパを受けるのがフランスで流行しているとのことで(真偽不明)、いまや「美容大国」などと呼ばれているらしい。
むかし性転換、いま女子力アップ
うーむ。それってタイが辿った道のようである。タイには21歳から2年間の徴兵制があり、これから逃れるためにニューハーフになるという説があった。だが実態は、ニューハーフであっても徴兵されるようだ。徴兵されればされたでけっこうまんざらでもないのがニューハーフである。まわりが男だらけなので、ついはしゃいでしまうらしい。
徴兵テストのくじ引きを待つ候補者の中に交じるニューハーフ男子、心なしかうれしそうだ
そんな軍隊でだいじょうぶなのか?
と思わずにいられない。加えて配属先をくじ引きで決めるというから、ますます心配になってくる。このとき「黒票」というのを引けば、兵役が免除になる。みんなこれを狙って必死になる。ハイテク全盛の現代の軍隊で、いまだに徴兵制などで兵を集めても、たいした軍隊にはなれない。士気がまったく上がらないからだ。少し前に「安保法案が通れば日本でも徴兵制が復活する」というデマが流されたが、その意味でもまったく現実味はない。徴兵の兵隊なんてまったくコストが合わないからだ。
ということで、タイとモロッコの3つの共通点。
- 美容大国といわれている
- かつて性転換手術が盛んであった(タイは今も)
- 物価が安く、風光明媚である
以上は仮説である。
実際はどうか確か目てみたいと思う(2を除く)。2016年現在、在モロッコ邦人数はわずか400人足らず。このくらいだと、エクアドルやルーマニアあたりに近い。7万人近く日本人が住むタイとはくらぶべくもないが、いささか少なすぎるのではないだろうか。このあたりも原因を調査したいところである。
ともあれ、出発である。
今回はおよそ30年ぶりということで、30年前のスタイルに近いバックパックスタイルで行きたいと思う。いわば中年バックパッカーである。スーツケースではけっして味わえない、全財産を着るという感覚。自分が背負える以上のものは持たないという、身の丈にあった人生を象徴するようである。
では行ってきます!
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