- 世界の携帯電話の契約数 約50億
- 世界の銀行口座数 約10億
このギャップに、はっとさせられないだろうか?
この差こそはモバイルを使って商品を見れるひとと、その場で商品を買うことのできる人とのギャップである。その差、40億!ネット上で決済したくてもできないひとがMAX40億人もいるということだ。もちろんひとりでスマホとケータイ2台持ち、なんてのもあるだろうし、絶対にネットで買わないと決めている人もいる。それらを含めても、このギャップを埋めるまでの伸びしろが数倍あるというのはすごい!
先日、次の旅に必要な車と運転手を手配するため、北アフリカにある旅行代理店のホームページから問い合わせをした。ホームページはしょぼいが対応はすばやく、3分で担当者から返事が来た。それからSkype電話で直接話し、30分後にはデポジットを払い、契約は完了。決済はiPhoneでPaypalのアプリを立ち上げ、教えられたメールアドレスを入力するだけである。(以下はiPhone用アプリ)
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だからどうした?とあなたは思うかもしれない。
おそらくこの旅行代理店、ドライバー自らが運営している。たまたまヒマだったのだろう。あるいは白タクの停車場で、客待ちしていたのかもしれない。そんなところへ、極東の間抜けな東洋人から問い合わせが来たというわけだ。ただの冷やかしでないことは、ちゃんとデポジット(前受金)が払われたことで確認できるし、ぼくはクレジットカード番号を相手に知られることなく決済できる。Paypalはつくづくよく考えられている。操作はiPhoneで行われ、相手も(たぶん)スマホでやったのだろう。
クレジットカードがあたりまえの世の中にあっても、信用力の少ない小さな商店や個人ではなかなかアカウントを開いてもらえない。だからこれまではどこか大手の仲介業者が間をとりもっていた。とくに国際取引などではそうだ。信用や利便性は担保されたが、利用者側には高くつき、サービス提供側には利益が目減りする。Paypalはこの壁を乗り越え、個人がモノを直接個人に販売するための手段を提供した。
ほんのこの数年で、ネット決済が大きく変わった。
Fintech(ファイナンスとテクノロジーの合成語)といわれる電子金融化は、あらゆる場面で効いている。多くは売手と買手の裾野を広げ、敷居を下げたことだろう。かつて(今もだが)銀行から海外に送金するための手数料のバカ高さにうんざりさせられたものだけど、いまなら他の手段でタダ同然で行える。日本では社長が逮捕されるなど、うさんがられたビットコインなんかもそうだ。あれなんか、金融市場のブロードバンド化(時空に関係なく無料で情報のやり取りができる)である。
居ながらにして地球の裏側のドライバーと直接やり取りをし、おすすめルートを教えてもらいながらディールできる。おそらくこれまでそのドライバーはムリな客引きをしては観光客にうとまれ、おまけにエージェントに口銭を巻き上げられた。今はこうしてネットで探してきた個人とダイレクトに取引ができる。そうしたプラットフォームが用意されている。メルカリに代表される個人フリマ市場も、本番はまさにこれからだろう。自動翻訳ソフトを使えば言葉の壁を超え、「気がついたら個人で貿易をやっていた」ということになる。
ここで肝心なのは、新しいプラットフォームに登場するプレイヤーは個人であるということだ。チュニジアやネパールで客引きをする運転手だったり、ウクライナの農家であったり、スペインのフラメンコダンサーである。編み物好きのルーマニアに住むおばあちゃんということもあれば、部屋を持て余すハンガリーの主婦だったりもする。彼らは一様に、必要とする誰かに見つけてもらえれば、さっそく自慢の一品を直接その人に提供することができるようになったのだ。おそらく10年前の半分のコストと労力で。
ますます地球は狭くなる。
この狭さ、個人や弱者にこそチャンスではないか。
そのためにもぜひ「被発見力」を磨いていきたい。
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