JATA(日本旅行協会)より、今年のゴールデン・ウィークの渡航先国別ランキングが発表された。
1位 台湾(昨年1位)
2位 ハワイ(昨年2位)
3位 シンガポール(昨年3位)
4位 グアム(昨年5位)
5位 タイ(昨年4位)
6位 ベトナム(昨年6位)
7位 オーストラリア(昨年12位)
8位 アメリカ本土(昨年8位)
9位 香港(昨年7位)
10位 韓国(昨年9位)
1〜3位までは不動でオーストラリアが躍進、といったところである。あいかわらず台湾の人気はすごい。女性二人連れが多いとのことで、ピーク時でなければ往復2万円を切るほど安くなった航空運賃も追い風である。また北米は昨年の149%増し、オセアニアは202%超えということで、円安が一服したうえ、うまくすれば10連休あるので中長距離地域も視野に入りやすいのかもしれない。
さて国外旅行といえば両替である。
リピーターならばあるていど外国紙幣を持っているだろうし、中には現地に銀行口座がある強者もいるけど、だいたいのひとは旅行のたびに日本円から現地通貨に両替している。きょうも成田や羽田空港にある両替窓口の前に列をなし、申込用紙にパスポート番号を記入しているはずだ。たしかに到着したとき、現地通貨があれば安心だ。だがそのことで損もしているかもしれない。
外国通貨はだいたいにおいて、円がその国にとってありがたいかどうかで交換レートの良し悪しが決まる。アメリカにとって日本円がありがたければ、日本で替えるよりアメリカで替えるほうがレートがいい。ありがたくなければアメリカで替えるほうがレートが悪い。円→ドル交換は、後者になる。アメリカで替えるほうがレートが悪い。逆に台湾などでは日本円はありがたく思われ、台湾で替えるほうがレートがいい。加えて手数料は人件費のかかる国ほど高い。
だがいずれにしても、現金両替はレートが悪い。それで前世紀まではトラベラーズ・チェックも使われていたが、いまは見る影もない。代わって利用されるようになってきたのがATMによる現金引き出しである。
以下は、出国前の空港・到着後の空港それぞれで両替した場合、現地ATMを利用した場合の3通りでレートを比べたものである。実用性を兼ね、日本人に人気のある国々のレートで比較してみることにする。(出典:「旅典」2015年2月レート)
*各国の為替レートは2014年2月のもので現行のものではありません
*スマホだと表組みが崩れることがあります、そのときはヨコ向きでね
ハワイ
レート $100換金 成田空港 109.78円 10,978円 ホノルル空港 124.2円 12,402円 現地ATM 106.35円 10,635円 100ドルをホノルル空港で両替すれば1万2千円以上するが、ATMで引き出せば1万円ちょっとですむ。その差2千円。というか2割増し。高い!米ドルはATMで下ろすほうが断然おトクだが、少なくとも日本国内でドルを用意しておいたほうがよさそうである。
ヨーロッパ(ドイツ、フランス、スペイン等)
レート €100換金 成田空港 141.29円 14,129円 フランクフルト空港 158.01円 16,591円 現地ATM 137.95円 13,795円 ヨーロッパ(ユーロ圏)は圧倒的にATMが安い。空港で100ユーロほど現金を両替すれば1万6千円、ATMで下ろすより3千円も高い。3割増しである。国内で両替しておくことが望ましいが、やはり現地のATMで下ろすのがもっともオトクである。
タイ
レート 10000バーツ換金 成田空港 3.78円 37,800円 スワンナプーム空港 3.42円 34,240円 現地ATM 3.35円 33,570円 米ドルやユーロといった国際通貨と違い、タイバーツなどは日本国内で用意するより現地の方が圧倒的におトクである。成田で1万バーツ両替するのに3万8千円弱するが、バンコクの空港なら3万4千円程度。4千円も違う。タイなら4日分の食費が浮くほどである。さらに安いのがATM。現地で現金両替するより、1割以上も得をする。
中国
レート 1000元換金 成田空港 19.36円 19,360円 上海浦東空港 18.49円 18,494円 現地ATM 17.52円 17,520円 人民元もメジャーになったから日本で両替したほうが安いのでは?という声もあるが、実際にはまだ現地両替のほうが安い。圧倒的に安いのはATMである。最近の中国は意外と物価が高い。上海に2〜3日いれば、軽く5万円はかかる。5万円を成田空港で両替すれば2580元だが、現地ATMで5万円分で2,850元も引き出せる。その差270元。これは大きい。
台湾
レート TW$10000換金 成田空港 4.08円 40,800円 台北松山空港 3.68円 36,820円 現地ATM 3.60円 36,050円 台湾ドルも現地で両替するのがお約束である。現地での両替なら、現金でもATMで引き出すのもそれほど差はない。それでもATMのほうがややおトクなので、まとまった金額ならそれなりに差が出てくる。それから意外と街ナカで両替するのは難しい。まず両替商がないし、ホテルは泊まり客のみとことわられる。ぼくは新光三越などのデパートで両替してもらったが、営業時間が意外と短い。ATMならいたるところにあるから、その意味でも安心である。
韓国
レート 10万ウォン換金 成田空港 0.10円 10,080円 仁川国際空港 0.09円 9,200円 現地ATM 0.10円 10,100円 韓国ウォンは成田空港で両替するのがお得という珍しいケースである。もっともレートが悪いのが現地空港ということなので、成田で両替しておくか、現地ATMで下ろすかにしよう。慣れないと1万円下ろすつもりで1万ウォン下ろしてしまう。手数料ぶん損をするので、できるだけATMの利用回数は減らすようにしたい。
ベトナム
レート 300万ドン換金 成田空港 0.0059円 17,700円 タンソンニャット空港 0.0051円 15,300円 現地ATM 0.0051円 15,300円 現地通貨のケタ数にいつも驚かされるベトナム・ドン。ATMのレートばかりがいいと思っていたが、意外と現金両替とほぼ同額であった。空港なら安心できるけれど、街ナカの両替屋はこちらが桁数にめまいがしているうちにぼられそうなので、レートは変わらずともATMを使いたい。ぼくは1回の両替を300万ドンと決めている。宿泊費を除けば、1週間くらいならこれでなんとかやっていけるからだ。
オーストラリア
レート 100豪ドル換金 成田空港 103.1円 10,312円 メルボルン空港 105.4円 11,393円 現地ATM 94.0円 9,406円 オーストラリアドルも米ドル同様、現地よりは日本での両替がおすすめである。100豪ドルで1000円お得だ。とはいえ安いのはやっぱりATM。同じ空港で100豪ドルを現金で両替するより、2000円ほどおトクである。シドニーなどは意外と物価が高いので、100豪ドルあたり2千円の差は助かるというもの。
どの渡航先においても、ATMを利用するのがまちがいなさそうである。「レートがいいのはわかった。でもどう使えばいいの?」という人もいる。ふだんつかっているキャッシュカードかクレジットカードの裏面に「PLUS」か「CIRRUS」のマークが刻印されていれば、現地のATMで問題なく使える。国際空港などにあるATMは外国人が使うことを想定しているから、まちがいなく対応しているはずだ。
ぼくは過去に一度、ウクライナにおいて、なにものかによって約18万円ばかり現金を下ろされるという被害に遭った。そのことでATMはちょっとしたトラウマである。以来、銀行のキャッシュカードを海外で使用するのをやめ、代わりにキャッシュパスポートという海外利用限定のプリペイドカードを使って、現地のATMからお金をおろしている。あらかじめ10万円ぶんとか、旅行中に必要な額だけいれておき、足りなくなればオンラインでチャージするという気軽さだ。WEBのマイアカウントページを使って経費管理もしやすい。スペアカードもついてくるから、万が一カードを旅行中に盗難や紛失しても、スペアカードで現金を引き出すことが出来る。なお、発行には審査はなし。主婦やフリーターでも作れるのがいい。
まとめ:ATMをつかう3つのメリット
- 換金レートが安い
現金両替に比べ、1割〜4割(国による)も安く両替できる - 各国通貨に対応できる
現金だと場所によっては「円は取り扱えない」と両替を拒否されることもあるが、ATMならこうしたこともない - 24時間いつでも換金可能
こまめに両替できることで大量の現金を持ち歩くリスクが減り、再両替のムダも減る。また相手は機械で人間でないから、ボラれることもない
両替であわてることのないよう、
どうか安全で良い旅を!
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