人生すら左右する空間認知能
あなたは以下のことが得意だろうか?
- モノを見て、それを絵にかく
- 本を読んでイメージを膨らませる
- 手を伸ばして、遠くにあるものをつかむ
- 弾んだボールを正確につかむ
- 集合時間どおりに決められた場所にたどり着く
それぞれに個人差のあるこれらの動作、つかさどるのは「空間認知能」と呼ばれる脳細胞である。生まれつき得意な人とそうでないひとといるのではないか? そう思いがちだけど、あんがいふだんのすごし方が影響する。
姿勢が悪いと空間認知能が低くなる
たとえば姿勢。
姿勢が悪いと損をする。空間認知能は「視覚」と「聴覚」が協力しあって成立するが、姿勢が悪いと腰や肩がたいてい左右どちらかに傾いている。結果として左右の目の高さが違ってくる。そのままでは正しく空間を認識できないので、脳がいちいちこれを補正することになる。いわば脳内補正装置である。身体が斜めでもまっすぐ歩けるのは、脳のこうした不断の努力のたまものである。脳さん、いつもありがとう!といつまでもお世話になっていると脳の疲労がハンパない。というか、姿勢が悪い人は、そのことで他の人よりムダに脳を浪費しているとも言える。しかも余計なプロセスがかかるため、その都度反応が鈍ることになる。
運動選手に姿勢がいいひとが多いのは理由がある。こうした脳内補正装置を作動せずにすむので、そのぶん脳のパフォーマンスがあがるからだ。それは時間にしてわずか0コンマ数秒という作動かもしれないけれど、スポーツ選手にとってはそれが命取りになる。ボールの落下地点へ素早く走る、ラケットのスイートスポットにボールを当てる、味方に正確にパスをおくる、すべては空間認知能が影響する。プロ野球選手でヒットが出なくなった選手をよくみると、身体がふだんより傾いていたのが原因だったりするのだ。
自分は絵描きでもないし、スポーツ選手でもないから空間認知能が低くたって・・・と考える向きもあるかもしれない。だが空間認知能はこの世が三次元であるかぎり、ふだんの生活に欠かせない。
- 全体像をとらえ本質を見抜く
- 正確に車を縦列駐車できる
- 自分に向かって飛んで来るものを避ける
- 転びそうになったときバランスをとる
- 字がキレイ、絵がうまい
- 整理整とんがうまい
- IQが高い
これらがあてはまるひとはだいたいにおいて空間認知能が高い。姿勢だってよかったりする。姿勢が良ければ脳内補正装置を使わなくすむから、脳は疲れにくくなる。集中力も持続しやすい。そのことで仕事や勉強の効率も上がる。一石二鳥も三鳥もある。
空間認知脳を鍛える方法
空間認知脳は生まれつきなのもあるが、大半は鍛えることで高めることができる。だがその前に姿勢を正すことから始めたい。いくら能力を高めても姿勢の悪さに足を引っ張られては、せっかくの能力がパフォーマンスを上げられないからだ。
姿勢を正す。
意志に反して姿勢がゆがむのは、身体の軸がずれてしまっているから。軸がずれているかどうかを調べるには、目を閉じて真上に飛び上がってみる。着地した場所が元の位置でないひとは、ずれている。元の位置から離れているほど、よりずれている。このままでは人生もずれてしまうかもしれない。
それがイヤなら治そう。決め手は左右の肩甲骨。このラインが地面に対して平行になるよう意識する。立っていても座っていても歩いていても。特に歩くときは肩甲骨の真ん中を意識しながら、腰を地面と平行移動させるようにする。腰から先へ前に出すイメージだ。その場で跳躍しててみよう。背筋を真っすぐ伸ばし、目線を水平にした状態で何度か跳躍してみる。このとき同じ位置に着地することをつねに意識する。肩や腕、腰もほぐれて気分転換にもなる。次にテニスボールを壁にぶつけて両手で受け取ってみよう。音がうるさい!と怒鳴られたら、床に座り天井に真上に投げて同じように受け取ろう。慣れたら目を閉じてやってみる。
視覚を失うことで、空間認知脳は総動員してこれを補おうとする。鍛えるにはいいのだ。絵を描こう。想像ではなく、目の前にあるものを描く。マス目のついたノートに描くのがおすすめだ。近くにあるモノや遠くにあるモノ。観察する対象物の距離を測り、遠近法を考えて縮小する、形や色あいを正確に読み取ろうとする、それらを手に持つペンで描写していく・・・これらの行為は空間認知脳をフルに使わざるを得ない。同じように正確に字を書くのもいい。
以下、なおきんノートから参考例
- ある休日の朝ごはん
- お気に入りのデスクランプ(緑色)
<まとめ> 空間認知脳を高める
- 左右の肩甲骨を水平に保つようにする
- その場で飛び跳ね、その場に着地する
- 目を閉じてバウンドするボールをつかむ
- マス目のついた紙にモノを写生する
- マス目のついた紙に文字を書く