タリンでの滞在は、寝る時間を含めても18時間。3日で3ヵ国をまわるのだから、なにかとあわただしい。ホテルをチェックアウトするやいなや、タクシーでバスターミナルへと向かう。ラトビアのリーガへは高速バス。鉄道が好きだが時間がかかるうえ、便が少ない。バスターミナルの簡易食堂でコーヒーを飲み、ソーセージとベイクドポテトを激しく降る雨を眺めながら食べた。
▲ Tallinn – Riga (4hours) LUX Express Bus
▲ 車内のようす 各座席で映画が観れ、ネットが使え、コーヒーなどは無料
ヨーロッパは鉄道よりも長距離バスが充実している。融通が利くし、点と点を結びやすい。鉄道とバスは、固定電話と携帯電話の関係に近い。各社競争が激しく、サービスも充実している。参入障壁が低いせいもあるのだろう。無料WiFiはあたりまえに使え、ドリンクは飲み放題。
リーガまで4時間と少し、そろそろ国境かなとGPSで位置を確認すると、とうにすぎていたことに気づく。ここでもパスポートを提示することはなかった。その後、フィンランドとエストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドの間にはシェンゲン協定があり、入出国手続きが互いに免除されていることを知った。どおりでヘルシンキ・ヴァンター空港での入国審査の厳しいわけだ。数カ国ぶんを代表しての審査なのだから。
リーガに到着した。
バルト三国の中では最も都会の70万人都市だけに郊外に住宅街が広がる。エストニアに比べ建物は大きく、道路は広かった。重厚な外観はロシアの都市を思わせるものがある。帝政ロシア時代ではモスクワ、ペテルブルクに続き、3番目に大きな都市だったという。いまもロシア人住民の割合は高い。自国なのにラトビア人は6割程度と聞く。街に漂う独特のワイルドさは、そのせいなのかもしれないと思う。単に、降りしきる雨のせいかもしれないが。
リガの旧市街は端正な建物で覆い尽くされていた。同じハンザ同盟のよしみか、ドイツのブレーメンやリューベックに感じが似ている。などと路地を歩いていると、とつぜんブレーメンの音楽隊の動物たちがあらわれた。建築様式もさまざまで、ゴシック、バロック、ドイツ語でユーゲントシュティールと呼ばれるアールヌーボーまで。そぞろ歩きが楽しい。タリン同様、街角を曲がる旅に足を止め、しばし構図を決めたりする。
▲ ユーゲントシュティールの建物。アパート上部には顔。なぜそこに顔が必要?と突っ込みどころが満載である。
▲ ユーゲントシュティールのメッカ、アルベルト通り
石畳に枯葉がつもり、踏むたびにかさかさと鳴る。一足はやく秋なのだ。通りのあちこちに、清掃のおじさんおばさんたちがほうきで路面を撫でている。それでもいまの時期、日が暮れるのは20時半。高速モードで歩き回り、ホテルに帰って泥のように眠る。朝は4時前には目を覚まし、ミルク色の街を散策するからだ。
▲ 宿泊したホテルのそばにあったステーキ屋 1,200年代からの老舗である
▲ 街のどこもが石畳 清掃されてゴミは落ちていない
▲ 三人兄弟とよばれる15世紀に建てられたビル 表情が豊かだ
▲ 旧市街の外は、近代的なビルも並ぶ 空に溶け込んで半透明に見える
正午には再び長距離バスで移動。
サンドイッチをバスに持ち込み、インスタントスープで流し込む。まるで売れないミュージシャンのツアーのようである。向かう先はリトアニア。いよいよ旅も終盤。
それでは。
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