しばらく新しい記事を書いていない。
そのことにいくばくかあせりつつも、あいかわらずマイペースな更新に甘えてしまっている。実をいえば、書いていないわけではなく、仕上げられないというべきだけれど。
以前の記事に書いたように、記憶というのはあとで誰かに話して訊かせようと思うことで忘れにくくなる。ふだんの暮らしのなかでコミニュケーションが大事なのも、そんな記憶というひきだしの中から好きなものを選んで表現することが習慣になるからだ。
ぼくは同じ机をかれこれ17年も使っている。
そのあいだ、ドイツ、香港、東京と移り住むなか、その国のイケアで同じ机を買って使っている。グローバルスタンダードってやつはその意味では便利だ。長さ180cm、幅120cmのL字型。ベッド並みに広い。
机の上にはたいてい7〜8冊、本が散らかる。ぼくは本を同時多読(同じ時期に何冊も同時並行で読む)するタイプだが、机に散らかるのはまさに同時多読中のもの。いま関心のあるものが机の上にてんこ盛りになる。片っ端から読み、読み終わったら本棚に戻すか人にあげるか、中古本屋に売る。雑誌は紐でくくってゴミに出す。新聞はもっぱら電子版でiPadのお世話になる。頭のなかの引き出しにおさまったのを確かめたら、一部をイラ写の記事にすることもある。すると別の引き出しから関連する素材がポンっととびだす。過ごした記憶や経験と結びつく。この瞬間がなんともここち良い。
▲ ある日のつくえのうえ
正面にアップル製iMac (2012)、その手前に置かれたガラステーブルの下にイラストを描くためのワコム製タブレットが格納されている。青いケーブルは無線イヤーパッド。その下が無線キーボードと、マウスよりはるかに使いやすいマジックトラックパッド。緑色のアヤシイ物体はシリコンゴム製のボディストレッチ「のびーる」デスクワークには欠かせません。iPadはその日の日経新聞、雑誌はFIGAROの旅行特集。電気スタンドで十分な光量を確保。
この日、読んでいたのは「シャトル外交 激動の四年【元アメリカ国務長官ベーカーIII著】」のもの。30代のときに単行本で読んだものを、文庫本で再読中。上下巻で1400ページ位あるからずいぶんと読み応えが。読み返すたびに深い発見がある、外交手腕の何たるかがわかる良書(単行本・文庫本共に絶版)。「転がる香港に苔は生えない【星野博美】」前書と同じく、香港で暮らし始めたころに読んだ単行本を、文庫本で読み返し中。写真を眺めているような文章表現力が瑞々しい。「ジョナサン・アイブ【リーアンダー・ケイニー著】」アップルの天才デザイナーを書いたドキュメンタリー。読んでいるときついアップル製品をなでいることに気づく。
イラ写の記事で読書感想文はやらない。未消化なままでは読者に迷惑だから。身体になじませ熟成するのをまつ。ここで必要なのは、たとえムダに長く生きててもそれなりに貯めこまれた経験だと思う。苦労や失敗は再生可能エネルギーでもある。
ひきつづきどうぞよしなに。
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