奇妙な夢を見た。
目が覚めると
そばで寝ていたちびきちが、いない。
家にいるとき、ちびきちは犬の習性か、
視界のどこかにかならずいるのだけど。
トイレにでもいったのかなと考え
天気予報をみるためテレビをつける。
テレビにちびきちが映っていた。
しかも、オレンジ色のチョッキを着て
そばに黒い覆面姿の男が立つ。
ちびきち! おもわず叫ぶ。
よりによってなんでちびきちがイヌ質!?
イスラムではイヌは不浄とされているはず
身代金の価値など、はじめからない。
それなのにISISめ。
人質がダメならイヌならどうだ!
というわけか。
だけどぼくは思い出す。
こうなることもあろうかと
ちびきちにはある芸を仕込んでおいたのだ。
巨大化である。
首輪の小型スピーカーを通じ
ぼくは命令する
ジャイアントちび、出動!
とたんにテレビの画面が砂嵐でけむる。
反応したようだ。
テロリストどもの悲鳴が聞こえる。
巨大化するとき首輪が心配になったが
うまく途中でちぎれてくれたらしい。
でなければ首を締め付けてしまうだろう。
画面はあいかわらずの砂塵、
時おりドーン、ドーンと足音が聞こえる。
おそらく彼らを踏み潰しているのだろう。
ちびきちのやつ・・
もう、そのへんでいいだろう・・
ジャイアントちびのタイムリミットは3分。
深追いしてはまずい。
ちびきち、おいで!
ぼくは命令する。
が、反応はなし。
あいかわらず、ドーン、ズズーン、という足音。
わー、わー、という叫び声と銃声。
こっち、おいで!
やはり反応はなし。
そこでぼくは気がつく。
巨大化したとき、装着したスピーカーは
首輪ごとちぎれて何処かへ行っちゃったのだ。
ちびきちに命令は届かない
ということは
首輪を拾ったテロリストに
ぼくの命令を聞かれてしまったかもしれない
こっち、おいで・・
・・・
背筋がすーっと冷たくなる
・・・
と、そこで目がさめた。
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