マレー・ジャコウネコは大のコーヒー好き。
もちろん「飲料」ではなく、コーヒーの実のほうである。たわわに実った赤い実、そいつを木に登ってむしゃむしゃと食べ、ぷりりと糞をする。うんちには未消化のコーヒー豆がそのままの姿で混じる。これを洗い、乾燥させ、煎って砕いて濾過したもの。それがコピ・ルアック(ジャコウネコ・コーヒー)である。
▲ コーヒーの実を食べるマレー・ジャコウネコ
このコーヒー、東京リッツ・カールトンのラウンジで飲めば一杯5500円もする。「糞にまみれてたのに、かよ!」と思われたかもしれない。まったくである。マニアじゃあるまいし。
▲ 糞の中から豆を取り出し、乾燥させたもの
一説には、ジャコウネコの腸内での消化酵素や腸内細菌の発酵によって独特の風味が生まれるんだそうだ。工場を案内してくれたガイドさんは「身体にとてもいいんです」とのことだった。ほんとうだろうか?
一杯、いただく。うまい!
▲ 底にドロリとたまったコーヒー粉もエグみがなく美味しい。
よくいわれる「まろやかなコク」そのままの味であった。糞の酵素だと思うとちょっとフクザツな気分だが、うまいことに変わりない。なぜうまいか? マレージャコウネコは相当グルメで、質の良くないコーヒーの実は食べず、良質の実ばかりを食べる。その豆ばかりを使って煎れたんだから、美味しいというわけである。
しかも希少性が寄与してこの豆、国外では100gあたり1万円以上もする。現地ではその半額くらい。さすが安い!とも思えないが。ほかに美味しいコーヒーは他にもある気がする。
コピ・ルアックにならい、アフリカでは猿に実を食べさせ、吐き出した豆で煎ったモンキーコーヒーなるものがあり、タイでは象の糞に混じる豆でブラック・アイボリーなるコーヒー豆なんてのがある。やはり希少品扱いで、高価取引されているそうである。
動物がした糞をありがたがる人間。
偶然の産物こそ美味い。
▲ 独特の段々畑の広がる景色をみながらまったりと・・
最近のコメント