おもえばバリではSPAばかり。
いったいどれだけの人の手がこのからだをまさぐり、なでさすり、もみほぐしていったことだろう。パンツを残してはだかになり、よこになって目をとじる。もちあるいていた財布もカメラもその辺におきっぱなしで無防備なうえ不用心きわまりない。こんなことだから到着直後にiPhoneをとられちゃうのだ。これもバリだからと気休めにひとりごちる。ウクライナやアルジェリアとはまるで緊張感がちがうのだ。
▲ 土産屋が並ぶウブドの中心街
これまでいろんな国でマッサージを受けた。バリ式マッサージが他国のとちがうのは、うつぶせ半ケツで尻を、あおむけで胸をオイルでもみしごかれることである。これはなかなか印象的であった。まるで変態さんである。それから値段と気持ちよさは比例しないこともわかった。高級SPAの原価は施設やベッド、マッサージオイルなどのハードウエアのためで、肝心の技術やマッサージ師の人間性とはまた別のものである。いわゆる町スパと呼ばれる施設のハードウエアはしょぼいが、そのぶん料金が安い。そのうえ地元のひとたちにリピートしてもらってなんぼの商売だから、技術がなければやっていけない。この道何十年の年配のおばちゃんの施術テクニックはいぶし銀。そんなおばちゃんによるフットマッサージ30分で300円からある。
マッサージを効果的に受けるコツは、1回あたり1時間以上やらないこと。中には2時間3時間コースなどもあるが、長くうつぶせになっていたりすればかえって首がこるし、もみ返しもコワい。たっぷり受けたいのなら1時間を2回に分けるとか、経験上そのほうがいい。下手な施術師にあたったときのリスク分散にもなる。
ところでSPAとマッサージ、違いはなにか?
日本では温泉やプールなどの施設があり、美肌やデトックス効果のある施術が含まれることをSPAといわれるそうだが、バリにおいては簡易ベッドひとつあるだけのマッサージ店でもSPAとのたまう。リフレクソロジーの要素があるかないか、アロマオイルがあるかないか、それだけなのかもしれない。だとすればバリ式マッサージはすべてがSPAといえそうだ。もみほぐしよりも撫でるほうが多く、オイルを多用するからである。
▲ SPAの向かいにあったコーヒーショップ。ジャコウ猫コーヒーなど各種フレーバーコーヒーを揃えていて、どれもおいしい。一杯100円から。豆も売っていてその場でひいてくれた。
今回の滞在中、もっともよかったのはウブドの町中にある「リフレクソロジー・バリ」というお店。垢ぬけたオープンな店内で、簡易ベッドでなく長椅子。だから服を脱ぐ必要がなく、女性がふらっと寄って気軽に受けられそうである。それからなんといっても技術が素晴らしい。あの独特の指の関節ワザによる足裏をマッサージは芸術的。まるでショーのようであった。施術師はパリっとしたポロシャツを着たさわやかな青年。ちゃんとジムで鍛えてますといったかんじで、力かげんにも幅がある。ひざから下の脚マッサージ、ハンドマッサージ、最後に肩と背中、ヘッドまでやってもらって、1時間1400円だった。しばらくここで暮らして、毎日やってもらいたかったほどである。
▲ REFLEXOLOGY BALI ウブド店の正面
チラシもスキャンしたのでよろしければ。
さあ、ことしもがんばろうね。
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