女性の部位で最初どこに視線が向かうか?
ほとんどの男性が「胸」と答える。
女性の写真を使ったある研究結果によれば、視線は平均0.2秒で胸に行くという。速すぎる。ていうか、なんてヒマな研究なんだ!そのいっぽうで、これはもう生存本能なのでは?と思ってしまう。赤ん坊のころ、だれしもお腹が空けばお乳を求めていたのだ。しかもまだよく目が見えないうちから。瞬速0.2秒の視線も、口唇が乳首に向かうのも、きっと授乳の記憶のせいに違いない。とおっぱい星人の友人が語っていた。哺乳類の、これはもう宿命なのだと。
そんな説を排他するわけじゃないけれど、豊胸手術を世界で最初にやったのは日本、という事実におどろく。なんでも在日米軍の兵隊さんたちを誘引するため、やり手ババアというか元締めが横浜港の倉庫にあったシリコンを盗んで娼婦たちの胸に注入した、というのが世界最初の豊胸手術らしい。胸はデカいほうが客が引ける。という需要の満たしは、アメリカ人こそおっぱい星人であったということか。世界最初の手術で女性の胸にシリコンが埋め込まれたのは1962年。ぼくよりひとつ先輩である。最近とはいえないが、あんがい遠い昔でもない。それからおびただしい数のシリコンバッグが世界中の女性たちの胸に収まり、時おり男性の局部にも収まっていったが、もちろん問題も多かった。ズレるしシコリはできるし、なにより感染症をひきおこす。個人的にはそんな胸になんのエロさも感じないが、あんのじょう安全性に問題があるからと使用停止になってしまった。再開したのはごく最近の2006年。素材が進化し安全性が担保されたからだという。医療科学技術の進化は絶え間ないし隙間ない。いまじゃ全世界で1000万人もの女性が豊胸手術を受け、年間8億USドル市場ということだ。横浜の埠頭から盗まれたシリコンから始まり、そのころ前途洋々おぎゃあと生まれたぼくのような人間がこんなただのおっさんになるあいだに、豊胸術はここまで進化し広まったのかとしみじみ胸を打たれる思いがする。しないけど。
ちなみにこの記事のタイトル『午前3時のキャビア』は、ラウンジ系NuJazzの代表的存在”クラブ・ド・ベルーガ”、2002年のデビューアルバム(Cavier at 3 a.m. / Club des Belugas)からいただいた。韻の響きがなんともいえずシャレているではないか。アルバムタイトルもそうだが、グループ名も訳せば「白イルカ倶楽部」である。ジャンルは不明。50年代ブラジリアン・ビートにアメリカンソウルがブレンドされたヨーロピアン・ジャズとでもいうべきか。優雅でセクシーで、心地よい深みが広がるドイツ発のグループ。数年前、グルジアのインターネット音楽番組で偶然かかっているのを聴き、以来とりこになった。2008〜2012年にリリースされたアルバムはとくにヘビーローテーションである。
http://aurgasm.us/2008/03/club-des-belugas/ ←ここで2曲、試聴できます
じゃあなんで「おっぱい」の内容の題目が「午前3時のキャビア」なのか?とあなたはきっと思うことだろう。ぼくもそう思う。あえて言うなら、どちらもぼくに縁がないという共通性である。大きな胸もキャビアも世にいわれるほどに魅力を感じないし、いまじゃ朝は4時か5時に起きる暮らしぶり。太く短かいはずの人生だったが、これじゃ持久戦の様相すらある。
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