アルジェリアのみならず、世界的にも著名な老舗ホテル。
映画『望郷(ペペルモコ;1937年)』の舞台になったり、チャップリンが宿泊したりしたことでも有名。1930年に建てられ、フレンチコロニースタイルの典型といわれる。 往年は超一流ホテルだったが、いまは老いた貴婦人のような趣きで、相当くたびれている。無理もない、アジアでは満州事変が起きる前年に建てられたのだから。スタッフのサービスもいささか投げやりな印象であった。
もし将来、アルジェに行くことがあったらぜひ泊まってみたいと思っていた。運よくシービューサイドの上階の部屋をとることができた。1泊朝食付きで1万円足らず。ラマダンでなければ、むつかしかったかもしれない。
▲ 車寄せから正面玄関の途中にあるカフェ
▲ 泊まった部屋。窓から港が見下ろせ、後ろには地中海が広がる。日本のビジネスホテルの部屋が3つくらいすっぽり収まるほど広い。優雅な時代を彷彿させる。
ホテル内はしんと静まり、廊下を歩く自分の足音がひたひたと反響するのが、ちょっと不気味である。メンテナンスは必ずしもゆきとどいているとはいえないけど、内壁は定期的に塗り替えられているようだ。
▲ 窓からの景色、アルジェの街と港が広がる
フロントに「朝食は?」ときくと、ダイアル6番を回してくださいと言われる。つまりルームサービスということであった。普通の一流ホテルでは、卵の焼き方や付け合わせの種類など細かくメニューの内容が選択できるものだけど、ここはアルジェリア。しかもラマダン。ただのコンチネンタルであり、選択の余地はない。
▲ 朝食はルームサービスで
それでも、部屋で海を眺めながらゆっくり朝食がとれるのは嬉しい。たっぷりのコーヒーとミルク、あわせて三杯飲んでもまだ余っていた。
出発まであと4時間。アルジェリア最後の晩餐代わりの、朝ごはんである。
▲ 何度もペンキで塗り直されたライティングデスク。優雅なカットが印象的。
▲ ベッドの横は大きな鏡。ふざけて自分撮りしてみた。インドの修行僧みたいである。
▲ もちろんカードキーなんてものはない
▲ 東向きの部屋からはきれいな日の出が拝められた
さようなら、アルジェリア。
次回はぜひ、ラマダンじゃないときに!
- 今日のひろいもの
サフィールホテルはいまでも、手動ドア式の前時代エレベーターが現役で使われています。ガタガタと揺れながら昇降します。動いているとき、蛇腹式の開きドアを 開こうとすると自然に止まる仕組み。安全面に配慮してのことなんだけど、よく階の途中で止まってしまい、焦ってしまいました。
エレベーター内部;かつてはここにエレベーターボーイが立ち、操作していたのでしょうね。恐る恐るいじってみたけど,何も起こりませんでした。まあ起こるとコワイけど。
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