よく、本を買うなら紙か電子か?と問われる。
紙の本がなくなるのでは?と言われていた時期もあった。でもおおかたの意見がそうであるように、どちらもイエスである。紙には紙の良さがあり、電子には電子の良さがある。あいかわらずぼくは月に15〜20冊ほど本を読むけれど、いまのところは 7:3 でまだ紙の本が多い。
本はやっぱり紙でないと、と思いつつ電子書籍を利用してしまうのはなんといってもその利便性。ぼくが読書する場所は、1. 移動中(電車、飛行機、新幹線)、2. 入浴中、3. ソファ、4. ベッド(寝る前)、5. デスク といった順である。とくに満員電車ではページをめくることもままならない。電子なら片手で持って片手でめくれる。出張や旅行では本が荷物になることもなくなる。入浴中も濡れた手でページをめくらなくてすむ。いずれも紙よりメリットがある。またデスクで読むときはキーボードをたたいてもいるから、手を離したとたんページがめくれたり閉じてしまわないようブックホルダーを使う。電子書籍ならこれがいらない。
昨年、アマゾンからでている読書端末、Kindle ペーパーホワイトの新型が発売された。前モデルより2000円高い1万円。ぼくは期待を持って初期モデルを購入し、その質の悪さにがっかりしたくちである。動作がもったりと遅く、バックライトにムラがあったせいだ。そのせいで目も疲れやすかった。以来、iPad mini がメインの読書端末となった。だがこれはこれで問題がある。ひとつは長時間に耐えられないこと。ギラギラして目が疲れやすいし、意外とバッテリーがもたない。ふたつめは他のアプリなどもあって気が散りやすいこと。みっつめはそれなりに高価で個人の情報なども詰まったデバイスだから、電車の中で落としたり、湯船に浸けたり、旅先で無くしたときのショックが大きいこと。ペーパーホワイトがもうちょっとまともだったなら、と常日ごろ思っていたのだ。さっそく使ってみると、新モデルはそれなりにキビキビ動くし(iPadには劣るけど)、バックライトはムラなく明るい。それと「筑紫明朝」というフォントが加わった。曲線がきれいで識字性が高い読みやすい。ページフリップという新しい機能も、ページをパラパラめくりながら目的のページを探すのに便利である。きっと多くの利用者の意見をとりいれたんだろうなと想わせる。
ペーパーホワイトはたしかに前モデルより良くなった。無条件におすすめするものではないけれど、現在入手できる読書端末の中ではかなり理想に近いと思う。なるほど国際線ではペーパーホワイトを機内に持ち込み、前の座席ポケットにつっこむ人を多く見かける。あれがペーパーバック2・3冊だとポケットが膨らみすぎてエコノミーだとキツイかもしれない。それに機内の読書ライトは、ページを照らすにはいささかギラつきすぎる。画面をむらなく白く照らせる新型ペーパーホワイトのほうがずっと読みやすいはずだ。
▲ 同じ本を買った別のユーザーがハイライトすれば、シェアされた部分は「8人がハイライト」と表示されている。他の読者が心動かされ「この部分読んどいてね」というメッセージでもある。
Kindleストアについては諸説あるが、読者からすれば安く買えるのはうれしい。また、個人が自作されたであろう書籍もラインアップされ、中には得難い作品もある。売れる見込みがなくてもとりあえず作れるというのは、埋もれた情報や作品が現出しやすいことになる。かつて自費出版といえば相応な初期費用を必要とした。これがKindleやiBookの仕組みを使えば手金を使うことなく出版でき、KindleストアやAppストアが代わりに売ってくれるから、あなたやぼくにも書籍を作って売るチャンスが生まれる。
読書端末の進化もまた、こうしたチャンスを広げてくれるのだろう。
そのエールを込めて自作っぽい書籍をいくつかダウンロードした。なかには「え、これが商品?」てなのもあるけれどね。
最近のコメント