コーヒーに砂糖を入れる人を、あまり見かけなくなった。コーヒー自体が美味しくなったから砂糖などで味を混じらせたくないという理由の人もいれば、ずばりダイエットというひともいる。子供っぽく見られたくないから、というひともいたはずだ。ぼくもそのひとりだった。高校生のころ定義した「大人の味」とは、ずばりブラックコーヒーであった。
「そんなに入れてだいじょうぶ!?」
声のするほうに顔を向ければ、2つ離れたテーブルでコーヒーに砂糖を入れている相手にツッコミを入れる女性の姿。なるほど向かいに座る男性が砂糖を次々とコーヒーカップに投下しているのが見えた。
おそらく女性は男性の健康のことを思ってのことなのだろう。だが女性が飲んでいるのはどうみてもフラペチーノ。だいじょうぶじゃないのは女性のほうである。ダイエット志向のひとからすれば、白い砂糖のつぶつぶは恐怖の対象なのかもしれないが、お店で出される袋入り砂糖はせいぜい5g、3つでも15g程度である。いっぽうフラペチーノ(450ml)には、なんと47gもの砂糖が投入されている。実に袋入り砂糖10コぶんである。ほんとうに怖いのは液体に溶け、姿を見せない敵なのだ。
わたしはフラペチーノなんて・・・
とあなたはいうかもしれない。だけど夏は暑いからつい手が伸びるコーラやソフトドリンクの類。暑くてノドが乾いていたりすれば、500ml入りペットボトルにも手が出るだろう。一本飲み干せば砂糖は50gぶんが胃に収まる。多ければ65gもある。なにしろ小さいサイズの缶コーヒーですら15gもある。ぜひグラニュー糖をコップに50gほど注いでみてほしい。その量にたじろくはずだ。でもそのほうがあなたのためかもしれない。体内に入った砂糖の量を視認しておくのは今後とてもよい抑止力になる。
砂糖を単なるデブのもと、虫歯の元くらいにしか考えいると、あとでひどい目にあう。もちろん糖そのものはとても大事な栄養素である。だがそれならコメやパン、麺などでじゅうぶん摂れる。砂糖がおよびでないほどに。
あまりイメージできないかもしれないけど、砂糖は強い酸性質でもある。体内組織や血液は酸性でもアルカリ性でもなく、中性であることが望ましい。だから強い酸性が摂り込まれると、中和させるためアルカリ性物質であるカルシウムイオンを体内で放出される。せっかくのカルシウムが骨や皮膚を強くするために使われるのではなく、ただの中和剤にされてしまうのだ。一時期「コーラを飲むと骨が溶ける」といわれていたが、炭酸に含まれる酸が溶かすというより砂糖が真犯人である。
まだある。
砂糖は脳にもよくない。
体内で消化している間に手当たりしだいビタミンやミネラルを食い荒らす食いしん坊だからだ。脳のビタミンともいわれるビタミンB。こいつも砂糖のせいで失われる。昔おばあちゃんが「甘いもん食べ過ぎたらバカになる」などと言っていたのを思い出す。まだ日本がそれほど豊じゃなかった昭和40年代、親たちはわが子が甘いもので太るより、バカになるほうを心配していた。高齢者についても言える。アルツハイマーの原因は低血糖。低血糖は砂糖の摂り過ぎによりインシュリン全開が常態化することも原因だ。そのうえ脳のビタミン、Bまで減るとあってはろくなことがない。
食べ物なんだからなにかひとつくらい取り柄があればと探せど見つからないのが白砂糖。もともとサトウキビや砂糖大根から作られるんだから天然モノかと思いきや、精製を繰り返すうちに人工甘味料と変わらず、カラダにいいものがなにひとつ残らない。ただのグルコースとフルクトースである。摂らないですむならそれにこしたことはない。
人生それほど甘くない
ってことですかね。
だけど、夕方になるとつい、
ちょびっとチョコを食べるクセが
あるのは内緒です。
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