『アンネの日記』などを図書館や書店でやぶっていたという容疑者が逮捕された。
30代無職の男。犯行の理由を「アンネの日記はアンネ自身が書いたものではないことを批判したかった」と供述している。つまり以前のイラ写記事でいう2番目の仮説。ユダヤ人陰謀説のひとつで、日記はゴーストライターとして父親が書いたのでは?というものだ。でも、だからといってページをやぶる根拠にならない。またはじゅうぶんでない。だいいち被害にあった書籍は『アンネの日記』だけではない。アウシュビッツ収容所で殺された少女の物語『ハンナのかばん』や杉原千畝の伝記本なども被害を受けた。共通するのはゴーストライターではなく「ホロコースト」である。
ピンと来たのは、2014年2月下旬の習近平のドイツ訪問。習近平は訪問前から「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)記念施設を訪問したい」とドイツに打診していた。ねらいは対日包囲網。メルケル首相といっしょに日本を非難するというもくろみである。
「ナチスの歴史を深く反省し罪を認めたドイツ」と「軍国主義と侵略の歴史を反省しない日本の指導者」(共に中国外務省)との違いを浮かび上がらせ、日本への国際圧力を強めたい考えとみられる。【msn産経ニュース 2014.2.25より】
ドイツ側はさっそくこの意図をよみとり、ホロコースト記念施設への訪問を断った。日中のいざこざにまきこまれたくなかったのだろう。それにホロコーストはドイツにとっては蒸し返されたくない話題である。習近平は日本を貶めたいという意識が前のめり、ドイツ側の心情を酌量する余裕がなかったのだろう。
もしホロコースト記念施設へ訪問し得たならば、習近平は現地から「日本でホロコーストの歴史を否定する動きがある」などと、安倍政権の右傾化をほのめかせ、おきまりの「国際秩序を乱す日本」を非難してみせるというシナリオだったのかもしれない。
2月中旬 被害が国内マスコミで大きく報じられる
2月20日 米ユダヤ団体、サイモン・ヴィーゼンタールセンターが抗議
2月21日 米NYタイムズ、米WSJ、英BBC、英ガーディアンが相次いで報道
海外の報道は「一部の国家主義者が、戦時中の日本の行動を正当化しようとしている」などと報じ、日本の右傾化を懸念していると書く。言うことがなんだか中国のそれとそっくりである。図書館や本屋にあるホロコーストに関する本が何者かに破られた。それをどう想像力をたくましくすれば「日本の右傾化を懸念」することになるのか?
そして、場が温まったところで
2月25日 習近平のドイツ訪問 である。
これはたまたまか?お膳立てか?
ともかく、ドイツは習近平のねらう反日協力に応じてくれずじまい。目的が果たせなかった以上、いつまでやってもしかたないのでとりあえずクロージングである。けど、ただちにやめさせるとシナリオがバレちゃうから、そっと収束させることに。
3月 9日 容疑者が逮捕される
3月15日 容疑者が再逮捕
このことを各国メディアはどう報じたか? それどころか、もはや興味ないといったかんじではないか。本来なら「犯人の動機の究明を!」などと騒いでおかしくないはず。たとえば英ガーディアン紙などは、「ショックだ」「これが起きている理由とこのような破壊的な行動で犯人は何を達成したいのか非常に知りたい」という、アンネ・フランク博物館の館長の言葉を用いて報じてたのだから。
というわけで、前の記事の答えとしては「2.」の仮説にみせかけた「1.」 ではないかとぼくは思う。
被害のあった図書館には多くの贈本が、一般市民やイスラエル大使館、アンネ・フランク博物館やユダヤ人団体から寄せられた。1. の目的は達せられず、むしろ美談が生まれた。反日包囲網も頓挫した。仕掛けた者たちからすれば「失敗」ということになるだろう。
以上はぼくのただの仮説である。
深層はまだ闇の中である。
博物館 館長のいうとおり、事件の真相を
ぼくも「非常に」知りたい。
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