散歩中、すれちがう犬にちびきちは後ろにまわり尻のにおいをかぐ。イヤラシイやつだなあと恥ずかしかったが、あいさつなのだとあとで知った。犬の肛門には臭腺という器官があり固有の匂いをここから放つ。識別臭というべきかもしれない。
不思議なものでこの匂い、その犬のポジションまでわかる。もともと群れて暮らしていた習性から、だれがボスでだれが中間でだれが下っ端かは、匂いでわかってしまうものらしい。もちろん敵か味方かも。相手の尻をかぎあうのは、人間がやる名刺交換のようなものである。
みていると、どうどうと尻をかがれる犬もいれば、尾を下げて尻をかくそうとする犬もいる。それなりに自信のある犬はかがれても恥ずかしくないのだろう。ちびきちはといえば、積極的に相手の尻はかぐくせに、かがれるときはビミョーな顔をする。相手によってかがせるかどうかを決めているのだろう。だから先に相手の尻をとるわけだ。もって生まれた性格ともいえるし、パピーのころから他の犬と集団で過ごしているからかも。
人は見た目が9割などという。
大部分を視覚で判断される。犬の場合はこれが嗅覚に代わる。つまり「犬は尻の匂いが9割」というわけだ。人間に対してもそのようで、犬にとっていい匂いのする人間は好きだし、そうでない人間を嫌う。匂いで敵か味方か、いい人かそうでないかを判断する。なぜかいつも犬に吠えられる人は、なにか問題があるのだろう。あくまでも「犬にとって」の問題だと思うけど。
そういえば昔はよく犬に吠えられた。それがいつのまにか吠えられなくなった。もしかしたらちびきちのおかげかなと思う。イヌ好きの人は、犬にもわかるのだ。
朝鮮族の中国人の知り合いがよく犬に噛み付かれるとぼやき、犬を飼うヤツの気がしれないといっていたのを思い出す。実際のところ、散歩中の犬にひとしきり吠えられ、ぼくの目の前で脚を噛みつかれそうになっていた。「きのうイヌを食べたからかな?」しれっとそいつがいうセリフにぎょっとした。
イヌ好きの意味が違う。
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