ひさしく話題にものぼらなかった『アンネの日記』が、意外なところで注目されることになった。東京都内にある38もの図書館で、著書が数ページ破られるなどしたという。その数300冊以上。防衛策をとりつつあるが、これからも増えるかもしれない。
戦後まもなく出版された『アンネの日記』は、世に出るやいなやベストセラーになった。以来、世界中で読みつがれている。ぼくも読んだし、あなたも読んだかもしれない。日記はキティと名付けられた。アンネもキティも商品名になるほど日本人にはなじみぶかい。ぼくなどは高じて、アンネたちが当時隠れ家として住んでいたアムステルダムにある「アンネ・フランク博物館」にも行った(初めてのオランダで最初に行ったのがここだった)。フランクフルトにある生家にも行った。ちょっとしたアンネおたくだったのかもしれない。また、アンネたちが収容されていたといわれるポーランドにあるビルケナウ強制収容所も見学した。そこで不思議な体験もした。もう30年近くも前の話である。
いまはもう思い返すこともなかった『アンネの日記』。それなのになぜこの事件が気になってしかたないのか、自分でもよくわからない。だれがやったのか? 単独、組織?そもそもなにが目的でそんなことをしたのだろう?
▲ どれも同じように丸くページが破られている【EPA時事】
自分なりに仮説をたててみた。
1. ディスカウントジャパン説
反日運動ではよく安倍首相をヒトラーになぞらえてみせる。いまやヒトラーは人類の敵であるからだ。「安倍もまた人類の敵」というふうにしたいのだろう。副首相の麻生さんの言葉尻を捉えて過激に反応したのも記憶に新しい。ホロコーストの象徴である『アンネの日記』を冒涜することで、「日本人はひどい」という印象操作をしてみせたというわけだ。発覚後、ただちにユダヤ系団体サイモン・ヴィーゼンタールセンターから抗議が入り「事件はホロコーストに関する記憶を侮辱する組織的な試みである」と非難している。まだ組織がやったと決まっているわけでもないのに、なにかこう申し合わせている感じがしないでもない。2. ユダヤ人陰謀説
なにかと陰謀説が絶えないユダヤ人。『アンネの日記』もニセモノだという人たちがいる。筆跡や内容が13歳の少女が書いたものとは思えない、とか、当時なかったボールペンで書かれている、などがその根拠だ。どれも裁判にかけられあらためて「日記はホンモノ」と判決が出ている。世界各地で陰謀論をぶちあげ、フランスのある大学教授は陰謀論の著書まで出したが、このため暴漢に半殺しにされた。いまなお日記に疑義がかけられ、なんらかの鬱憤を晴らそうとするひとがいるのかもしれない。という説だ。東京でやる理由がまったく見えないが。3. 愉快犯説
「黒子のバスケ」に関し脅迫文を出していた渡辺博史容疑者が捕まったとき、本人がテレビカメラの前でにやりと笑うシーンが不気味だった。逮捕されたときも「負けました」などとゲーム気どりである。そんなふうにして、世の中を騒がしてよろこぶ人がいる。この事件もその類だろうか?
このうちどれかかもしれないし、どれでもないかもしれない。犯行声明がないから「2.」「3.」は可能性が低そうだ。なぜ東京で、しかも犯行現場が固まっているのか? マスコミ取材のしやすさを想定し、海外に発信されやすいように仕向けたのかもしれない。という見方もできるが。
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