どうもぼくは基本的な知識が欠けている。
例えば「二の腕」のこと。
てっきり「両腕」を意味するものだと思い込んでいた。だから「二の腕がたるんでねえ」などと耳にするたびに、腕が2本あるのはあたりまえなのに、どうしてわざわざ「二の腕」などというのだろうと不思議だった。
それが「上腕」を意味するものだと知ったのは、実はそれほど前のことではない。自分でまちがいだったと気づいたので、さいわい人前で大恥をかくことはなかったが、いまこの場でバレた。間違えてました。ごめんなさい。
「二の腕」が上腕なら、じゃあ「一の腕」はどこの部位か?とただちに疑問がわく。知る人に聞いて、意外なことがわかった。もとは「一の腕」こそ上腕ぶぶんであったのだ。代わりに「二の腕」は肘から手首、つまり前腕のことを言った。いつのまに入れ替わってしまったのだろう? いや、入れ替わってすらしてない。上腕は「二の腕」に置き換わり、気の毒な「一の腕」は押し出され、使われなくなったのだ。だれに惜しまれることなく。きっと語呂がわるかったのだろう。
たるんだ二の腕のことを「ふりそで」というらしい。こういう日本語が絶妙である。子供のころは祖母といっしょに風呂にはいり、よくこの「ふりそで」で遊んだものである。ひっぱると伸びるので楽しかった。しわしわのおっぱいでも遊んだ。さきを指でつまんで、上下に揺らし、びたびたびたと水面をたたいた。祖母は笑っていたが、笑っていなかったかもしれない。
垂れていい。
そのうち孫ができれば
よろこんでくれる。
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