「地球上の人間の90%は土曜の夜のウィスキー瓶から生まれてきた。」
ジョン・レノンが残した言葉である。酔った勢いで子供が出来るのがほとんどだと皮肉ってみせたのだろう。アラブ諸国を除いては意外と真理なのかもしれない。酒の力を借りて告白し、応じ、あれこれ考えずにコトにおよんだ経験はあなたにもあるかもしれない。ぼくもあったかもしれない。酔って忘れてしまっているが。
恋をしなくなって久しい。
自分がそうだと大半の人たちもそうだと思い込むのは身勝手な解釈だ。巷のクリスマスも近いこんな時期にあっては、気の利いたレストランやホテルはふたり分の予約でいっぱいらしい。中には予約しておいてから相手を探す輩もいるかもしれないが、それらも含めなんだか80年代終わりを思い出さずにはいられない今年の東京。イルミネーションはあの時よりもLEDぶんだけ明るく、20年もの間に建ったビルぶんだけ多い。そして女性たちはさらに綺麗になった。
年の暮れである。
毎度ながらあっという間である。まわりの誰もがそういう。年々時間の経つのが早くなっている気がする。
実はこれには根拠がある。
ぼくはこの年、50になった。なってからもう半年が経つが、いまだにちょっと信じられない。だが50男にとっての1年間なんて、これまで過ごした年月のわずか2%(50分の1)である。これが10歳のころだと、なんと10%もあった。「たかが8%の違いくらい」などと言うなかれ。「5倍」というのが両者の違いである。つまり50男の1年が過ぎる感覚は10歳児の5倍も早いということだ。これは19世紀のフランスの哲学者ポール・ジャニが言いだしたとされ「ジャニーの法則」という。
どうりで早いはずである。
同じ1年間すごしても30の頃よりいまの50歳には4割も短く感じてしまうのだから。感覚的に1年が219日しかないようなものである。さらには次の1年はさらに短く、その先の1年はもっと短い。思えば20代のころは一日12時間だって眠れた。いまじゃ無理して8時間である。老い先が短くなるだけじゃない。1日の時間感覚も短くなるのである。年をとるにつれ早起きするのは、時間への無駄なあがきのように思えなくもない。せつない話である。
一日千秋の思いで相手を待つ、というのも恋の醍醐味のひとつ。1ヶ月に一度、年に一度しか逢えないとなればなおさらである。遠距離のような物理的な恋愛、不義の恋愛のような精神的な距離。そんなふたりにとっても1年間は短いだろうか?
ことしもわずか3週間。一日一日を
大切に充実して過ごしくださいね。
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