昔から「嘘つきほど声がでかい」という。
疑念を持った相手から反論を封じ込めたり、嘘がバレないよう同じことをつい繰り返してしまうのだろう。そのうち自分にも暗示がかかり、嘘がまるで本当にあったかのように認識されてしまう。嘘はやはり嘘のままで、真実とは別である。
中国では反日報道番組が恒例だ。先日も中央テレビ局が日本にやってきて、街中インタビューをする。「南京大虐殺を知ってますか?」「日中戦争時代に多くの中国人が死んだことを知っていますか?」とっさにマイクを向けられた中学生は「知りません」と答える。そこでカメラはスタジオへ。番組の解説者は「日本の教科書はこんなふうに歴史を改ざんして子供たちに侵略の歴史を教えていないのです」と、日本の歴史教育への批判を行うというシナリオだ。やれやれ、いつまでこんな茶番をやってるんだろうと、うんざりしてくる。
うんざりしているのは番組を観た中国人もである。中国版ツイッターでもある『微博』への書き込みには、そんな番組に対し批判がちらほらみられはじめた。
- 捏造しているのはむしろ中国の教科書だ
- 中国人民は知っている、あなたたちこそ毎日だましているじゃないか
- 文革以来、いったいだれが多くの人民を惨殺してきたのか?日本人じゃないぞ
- 自国の歴史さえ正視できないこの国(中国)が、他国に真実を語れと要求するのも筋違いだ
共産党政府が必死になって情報操作しようとも、人々はインターネットなどで自立的に情報を得ようとするし、いかに口止めをしようとも個人の情報発信手段は奪いようがない。
どんなに日本人を悪者に仕立てたところで、いまの中国人それぞれが直接日本や日本人から危害や迷惑を受けたわけじゃない。仕事がなかったり、食料品が安全でなかったり、役人が不当に税金や土地を取り上げたりするのは、政府が無策だったり企業にモラルがないせいであって、日本人のせいではないのだ。むしろ日本企業は雇用を提供しているし、安全な食料を供給しようとしている。
中国の民間サイト『網易』のアンケート調査「歴史教科書で嘘をついているのは日本か、中国か」では、「日本」と答えたのが約3000人に対し、「中国」と答えた人は約9000人もいた。あれだけ反日教育をしておいて、結果は中国のほうが教科書で嘘をついていると答えた人民が3倍も多いのである。要するにこれは信ぴょう性の問題なのだろう。ふだんから嘘ばかりついて人民をだましている中国国内メディアや共産党政府が、こと日本については急に正直になり本当のことをいう、というのも考えにくい。人民は気づいている。政府やメディアは日本を悪く言うが、あれも嘘なんじゃないかと。
共産党の正当性は「悪い日本を倒して人民を救った」ことにある。だが、これがそもそも嘘である。日中戦争を戦った当事国は中華民国。蒋介石率いる中国国民党軍であった。今の中国人民共和国は、政敵であった毛沢東が率いる共産党軍が元だ。この軍隊、盧溝橋事件を起こし日本軍と国民党軍を相打ちにしたあげく、隙をみてちょこっと出てはゲリラ攻撃し、反撃されては逃げていた。日中戦争は泥沼というが、太平洋戦争が始まる1941年には主要な戦闘は殆ど終わっており、その多くで日本が勝利している。そのため中国大陸にある大都市は日本軍に占領され、国民党軍率いる蒋介石は奥地へ逃げ、持久戦に持ち込むほかなかった。結局のところ日本はアメリカとイギリスに負けたのであって、中国ではない。中国は連合軍側に属していたので間接的に勝者となっただけのこと。やれやれ正当性からして嘘ではないか。
ついた嘘はいつかはバレる。
歴史にはそんな自浄作用もある。
中国がいう「正しい歴史認識」というのは、日本は戦争に敗けたんだからオレたちの作り話に合わせて罪を負い、弱い国のままでいろ、と言ってるだけのことだ。相手にするほどややこしくなる。
70年も前の戦争を、年追うごとに大声で日本を責めてはしゃぐが、ぼくにはこれが嘘がバレそうであせっている姿にしか見えない。置いてけぼりの中国人民がかわいそうだ。
最近のコメント