*イラストと文章に関連性がないことを今一度お確かめください.
バブル経済がはじけた1992年。
「失われた20年」などという人たちは、この時から日本は失われ続けていると唱える。
実はこの年、特許による貿易収益がはじめて黒字になった。以来、ずっと黒字幅は伸びていて、直近の10年で四倍となり、2011年度だけで約2兆円にまでなっている。技術力の高さを数値に表すのはいろんな方法があるけれど、特許使用料もそのひとつだとぼくは思う。ある独自技術に特許がついていれば、その技術を使う会社からこの特許使用料が支払われる。それは国内だけでなく、もちろん国際間でもやり取りされる。日本も外国に使用料を払うし、外国も日本に使用料を払う。つまり、後者のほうが年間2兆円も多いということだ。
ちなみに日本の企業に支払われる外国からの特許料はそれぞれ
- アメリカ 4911億円
- イギリス 1444億円
- ドイツ 232億円
- 中国 3045億円
- 台湾 1715億円
- 韓国 908億円
【出所:総務省統計局(平成23年度)】
などなど。しかも年間でだ。
対して、日本の企業が中国、韓国、台湾に払うのは、あわせても50億円未満。3国からの特許収入が5668億円だから、収支差じつに100倍!そのことにあらためておどろく。自社でコツコツ開発するより、欲しい技術を先に日本が開発していたなら、そこから買ったほうがおトク。そう思わせるだけの高い技術を日本企業は持っているということだ。
これは世界における日本のプレゼンス(存在価値)でもある。世界の人々がいまの生活水準を保つのに、日本の技術がなくてはなりたたないともいえる。
クルマ、パソコン、テレビ、スマホ、日本にいれば気づかなくても、海外に出るたび日本製を目にする機会が減ってきた。メディア広告や看板もそうである。そのことを少し寂しく思う。代わりに目立つのがサムスンやLG、ヒュンダイなどの韓国製品。看板などはむしろ目障りでもある。先日行ったウクライナの首都、キエフの中心街でもSAMSUNGの看板は目立っていたし、オデッサなどではLGロゴの旗を持った青年がローラースケートで車道を走り、ドライバーたちに迷惑がられていた。
海外ブランドロゴの下に隠れて見えづらくとも、その製品にはしっかりと日本の技術が内包されている。ロゴはボディカバーに隠れていても、基幹部品や、それをつくるための技術は日本のものであることが多い。加えて今後、外っ面はもうどうでもよくなる時代になる。シェールガスなどが普及すればエネルギーコストは下がり、世界はこれからますますデフレの時代になる。デフレの時代においては、見かけよりも実質がより優先されてゆく。ちなみにアメリカでシェールガスを試掘するときに使われるパイプは日本製である。US製は1回ですぐにダメになるが、日本製のそれは3回使っても壊れないからトクなのだ。
日本はイノベーションがない、などと自嘲気味にぼくらは口にするけれど、逆である。イノベーションのひとつが特許保有数。それによって年2兆円もの収支黒字を挙げている国は、世界でも日本だけである。収入を支出で割ったものを収支倍率というが、日本は堂々一位。収入でこそ日本を上回る米国は、収支黒字幅では下位となる。
技術貿易収支倍率
- 25位 韓国 (0.33:赤字)参加25ヶ国中
目立たず、控えめな強さもまた日本らしい。
逆をやり、高じてコケる国があればなお際立つ。
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