「歩きながら思い出し笑いしてましたよね?」
ととつぜん、言われる。通りを歩いていて知り合いとすれちがう。こちらは気づいていなくても、相手がぼくに気づく。というケースだ。そのときちょうど思い出し笑いをしていたらしい。それがなんであれ、なぜかいやらしい想像をしていると思われがちである。
香港時代からの友人にカトちゃんという男がいる。
セクシーじゃない方のシモネタが好きで、自分自身、多くのシモネタ体験を持つ。ぼくよりも若いが、同じく昭和40年台に小学生であった。世代が似ていれば当時遊んでいたおもちゃも同じ。たとえばマブチ水中モーター。あの時代、これで遊ばなかった小学生はいなかったのではないか。防水ケースに電池とモーターが格納され、とびでたシャフトの先にスクリューついている。ケースには吸盤があり、それをぺたんとおもちゃの舟底にくっつけて、池や川で遊ぶのだ。カトちゃんは自慢の潜水艦にそれをつけ、水中を走らせて遊んでいたらしい。それも風呂屋の大浴場で。
昭和の時代、銭湯ではしゃぐ子どもたちはどこにでも見られる風景だった。たまりかねたオジサンが「こらガキ!うるさいぞ!」と叱れば、壁を隔てた女風呂から「すみませんねえ」と母親のあやまる声がしたものだ。カトちゃんはいつものように友達と銭湯で大騒ぎ。友達と潜水艦の水中キャッチボールをしていたらしい。「魚雷、発射!」ところが潜水艦、カジを誤り、友だちではなく知らないオジサンのほうへ向かい、
みごと命中。
バシャー!と立ち上がり、「てめえら、いったいなにやってんだあ!」とゆでダコ顔で怒鳴るオジサン。だけどその股間には潜水艦がぶらーん。スクリューが陰毛を巻きつけてしまったのだった。
一同爆笑。
何度も聞いて知っていたが、つられて笑う。その後どうやって絡まった陰毛から潜水艦をリリースしたのか、やっぱり聞き忘れてしまう。被害者はオジサンだが、陰毛が絡みついて壊れてしまった水中モーターも、なんだか気の毒である。 その後も、あの顛末を想像してはニタニタ笑ってしまうのだ。
「いい年してみっともないですよ」
・・そう言われても、困る。
▲ ケロヨンで覚えてるかた、正解はケロリンです。
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