うたた寝

うたた寝に 恋しき人を 見てしより
夢てふものは 頼みそめてき

小野小町は、よく夢のなかに好きな人があらわれるさまをよく歌に残している。初めてこの歌のことを知ったのが10代なかば。以来「うたた寝」という言葉になにかこう、艶やかな意味あいを持つようになった気がする。そう、逢いたいひとがいれば「うたた寝」で逢えると。もちろん、うまくいったことのほうがずっと少ないのだけど。

小野小町の生きていた900年ごろは、平安時代である。そのころから「うたた寝」という言葉はあったのだ。漢字で書けば「転寝」。ただの「ゴロ寝」である。それじゃなんだか味気ない。と思うぼくはうたた寝の語源はきっと「うたかた」にあるような気がしている。意味するところの、はかなく消えゆく感じが、小野小町の歌が醸しだす心情によく合う。

このごろ眠りが浅い。
おかげでよく夢を見る。だからか、空いた電車の中で、ついうたた寝をしてしまう。次に目が覚めた時の後頭部のあたりにうっすらとしびれを感じながら、しばらくぼんやりとさっき見ていた夢を反芻したりする。なんど見ても、小野小町が「うたた寝」の中でみたような夢のようにはいかないのだけれど。

うたた寝。
いい響きである。

*どうでもいいことなんだけど、起きているなおきんも、寝ているなおきんも、イラストでは目が同じ。だのにどうして寝ているようにみえるのか、描いているぼくにもちょっとわかりません。

5 件のコメント

  • はじめまして
    いつも拝読しております。

    なおきんさんのうたた寝イラストが可愛いくて、思わずコメントしてしまいました。

    うたた寝・・・漢字で書くより平がなの方がそれらしくていいですね。ここのところ、週末の午後うたた寝ばかりです・・・。

  • 気持ちいいですよね、うたた寝は。休日に、寝ようとして寝るのではなく、いつの間にかウトウトするのが気持ち良くて。
    それだけに、インターホンでたたき起こされた時にはイラッとしてしまいます。で、起きると夢の内容を忘れてしまう。
    恋しき人を〜何てキレイな短歌は作れそうに無いなあ。

  • ももすけさん、一番ゲットおめでとさまです。
    初コメントありがとさまでした。「休日の午後のうたた寝」いいですね。でもぼくの友人のMさんは、うたた寝していると奥さんに掃除機で頭をこづかれるんだそうです。「髪の毛も吸い込まれ、いくつか抜けたかもしれない」とのこと。お気の毒ですね。
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    楽庵さん、
    そうですね。うとうと、というのがいいですね。さあねるぞ!とベッドに入って寝ると目が覚めた時、みょうに寂しくなるものです。でも眠りを妨げられたといって宅急便のお兄さんに八つ当たりしないようお願いしますね(笑)

  • うたたね、好きです。
    イラストには、描く人のイメージがのるんじゃないかと思っています。
    同じ線でも意味が違う。絵の線が好きで、線を追って漫画を読んでいるほどです。
    なおきんさんのイラストは、いろんなアプローチのある線が使ってあって楽しいです。

  • かなさん、コメント返しが1年以上たってしまいました。せっかくイラストについてのありがたいお言葉をいただいていたのに。どうもすみません、そしてありがとう!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    なおきんプロフィール:最初の職場はドイツ。社会人歴の半分を国外で過ごし、日本でサラリーマンを経験。今はフリーの立場でさまざまなビジネスにトライ中。ドイツの永久ビザを持ち、合間を見てはひとり旅にふらっとでるスナフキン的性格を持つ。1995年に初めてホームページを立ち上げ、ブログ歴は10年。時間と場所にとらわれないライフスタイルを めざす。