いつも買う経済誌をパラパラとめくっていたら「ヘソクリ経済学」なる特集に目が留まった。ヘソクリ。どこか昭和の匂いがする語感である。と思ったのはぼくだけかもしれない。ヘソクリは平成になってからますます盛んで、金額も大きくなっているようなのである。
損保ジャパンDIY生命保険調査のデータによれば、サラリーマン旦那の主婦のヘソクリの平均額は384万円。30代、40代と増えていき、50代では533万円。ほんとうか、と思う。ヘソクリというのは妻が夫に、夫が妻に知られないよう内緒で貯めているお金のこと。それが50代主婦にして500万円以上もある。この国の妻たちは、家計費とは別に、それなりにまとまったお金をもっている。ヘソクリなんてせいぜい数万円から十数万円くらいの、使いみちとしては豪華な主婦ランチや洋服あたりだろうとばかり思っていたぼくは、実態を知らなすぎであった。
ヘソクリへの軍資金にはこんなのがあるそうだ。
- 税金などの還付金
- 生命保険などの「祝い金」
- 自分が働いた賃金の一部
- 給料日までにあまった家計費
- リサイクルショップに売ったお金
毎月のやりくりの中からヘソクリぶんをより分け、さらに「払ったお金の戻り」をうまく貯めているようすがうかがえる。「家庭の貯金」にすれば、旦那や子供がこれをあてにして使ってしまうのかもしれない。誰にも知られずヘソクリにすれば妻のペースでこつこと蓄えることもできるのだろう。年代が高いほどヘソクリ額も大きいのだから、きっと何十年も貯め続けているはずだ。その間見つからないようにしないといけないわけだから隠し場所も工夫が必要だ。
主なヘソクリの隠し場所
- タンスの中
- 本にはさむ
- 台所周辺
- 冷凍庫の中
- 実家
- バッグの中
- ネットバンキング
【出所:月刊プレジデント5月13日号】
凍らせるんかい!(冷凍庫)とツッコみつつも、「タンス預金」として定番のタンスの中というのもまだメジャーであるのが意外だった。それだけ夫はタンスの中身に興味がないということか。ネットバンキングというのも旬だ。通帳だと銀行から「記帳しに来てください」的なはがきが届いて夫にバレやすいから、入出金確認はすべてWEBで閉じてしまうほうが都合いいのだろう。
気になるのが「使いみち」である。主に子供のためや生活費の補填のためとある。さすがは良妻賢母の国だとつくづく思う。単に貯めるのが好きだからという人も4人にひとり、おられるようである。いっぽう気になるのが「離婚資金」としてのヘソクリ。定年離婚という言葉を耳にするようになったけれど、きたる日のために準備を怠らないのが妻の深謀遠慮というわけだ。夫とは別れたいが、別れたとたん路頭に迷うのもイヤということかもしれない。
そう考えると、これから景気が良くなることがあれば一緒に「離婚率」も上がるのかもしれない。雑誌には「3000万貯めたら離婚する予定です」という30代の妻が紹介されていた。あながち極端な例ではないような気がしてくる。
ヘソクリひとつにも悲喜こもごもある。
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