悪いことばかりやっと教えられていたせいか、あるいはもともと謙遜を尊ぶ国民性からか、ほめられると落ち着かないのが日本人である。また、それをあたりまえのように受け入れてきた育った日本人にとって、被害者である中国や韓国が同じように自国民に教えていてもあまり文句は言えないと思っていたふしがある。
そんなリベラルな人ですら「これはいくらなんでも怒り過ぎじゃないのか」というのが、数年前からとりざたされている彼の国の反日騒動であり、軍事行動である。
これまで「日本人は世界から好感が持たれている」と言われても、「ご冗談でしょう」とそれほど信じなかったフツウの日本人が「あんがいそうなのかもね」と見なおそうとしている。とはいえ、2012年の5月に英国BBCと22カ国が共同実施した調査結果に、いささか面食ったかもしれない。
■世界の好感度ランキング 資料
▲ 青グラフが「良い影響を与えている」で、黄グラフが「悪い影響を与えている」【2012 BBC World Rating】
日本はどうどうの一位。
かといって「ほら見ろオレたちはスゴイんだ」とならないところがまた日本人の、また日本的なところで、どこかの国とはまるで違う。その「どこかの国」こそは、あの手この手で日本のネガティブキャンペーンを世界中でおこなっているのが、なんだかもの悲しい。それから、中国が5位と意外と健闘している。内訳をみるとナイジェリアやケニア、パキスタンなどから肯定的な票が多く、なにより中国人自身がもっとも多い。アフリカへの援助外交や、自国自賛が反映された結果なのかもしれない。
好感度ランキングの要素には「平和であるかどうか」というのも大事な判断材料だ。Global Peace Index (世界平和指数) によれば、日本の平和度は世界第五位。アジア・アフリカ諸国の中では1位である。
■世界平和指数ランキング 資料
▲ 158カ国を対照にした世界平和指数ランキング上位20位【2012 Global Peace Index】
指数には「戦争・内戦の数」「人権尊重レベル」「暴力犯罪の程度、数」「近隣諸国との関係」「軍人の数」「政治的不安定さ」などを総合的に判断したもので、英国のIEP(Institute for Economics and Peace)という国債研究機関が報告しているものだ。
ワーストはソマリア(158位)、アフガニスタン、スーダン、イラクとつづく。ちなみに米国は88位、中国は89位、韓国は42位とある。人口1億を超える大国であり経済大国、かつ政情不安定な東アジアに位置しながら、5位という日本は相当がんばっていると思う。
▲ 地域別平和度の傾向、濃い緑がより良く、薄い緑がより悪いをあらわしている。日本が含まれるアジア太平洋地域は治安が悪くなっている【2012 IEP】
こういう指標を見ていると「海外旅行なんて危なくて行けない」なんていう人が出てきそうである。
そういえばここ2〜3年、ひとり旅をした先はロシア(153位)、ミャンマー(139位)、アゼルバイジャン(132位)、グルジア(141位)、アルメニア(115位)と、平和ではない国ばっかりである。個人的にはいずれの国も平和だったし、好きな国なのだけど。もしかしたら「日本人との相性」という要素があるかもしれない。近所どうしならではの摩擦もあることだろう。離れていたほうがお互いさまということもある。
ふるさとは遠くにありて思うもの
あこがれもまた、そうかもしれない。
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