米ギャラップ社の調査によると、アメリカ国民の60%がメディアの国政関連のニュースを信用していないという。1970年調査開始以来、米国民のメディアへの不信は最高潮にある。同じ調査を日本でもやってもらいたいと思うのはぼくだけだろうか?
すこしTPPのことについて書く。
以前書いてからどのくらい経つだろう?
あいかわらずどの新聞社もTPPには賛成のようすで、TPPに参加しなくちゃ真の経済成長はないというふうなことを書く。TPPをまるで農業問題のように書き、「農業関係者という大事な票田を失いたくないからだ」と、反TPP議員を非難する。たしかにそういう議員もいるだろうけど、そんなの本質じゃない。
輸入農産物非関税はTPPのごく一部。それに日本はすでに関税については十分開かれているので、あらためて争点にするほどのことじゃない。それより問題なのは制度改正のほうではないか。
たとえば米国が狙う日本郵便の簡易保険。日本の庶民がコツコツためた100数十兆円もの預金をTPPによって自由化し、国際市場(米資本の金融機関)へ吐き出させたい。米国にとってはリベンジでもある。この簡易保険の100兆円、実はゴールドマン・サックスに投資されるはずだったのを、中川昭一(元)財務大臣は「これはおかしい、判は押せない」と拒否。直後リーマン・ショックが起こり、郵貯の被害はぎりぎりのところで被害を免れた。農林中金などはすでに投資していたから被害甚大である。郵貯を救った中川氏はその後、不審な死を遂げたのは知ってのとおりだ。
▲ 在りし日の(故)中川財務大臣(右).まっとうな政治家のひとりだった
また農作物の輸入よりずっと深刻なのは農薬。現在日本は遺伝子組み換え作物に対応する農薬を禁ずるいっぽうで、米国は日本に輸入させたくてうずうずしている。この農薬、害虫ばかりか益虫も殺し、作物の受粉しなくなるから野菜や果物が採れなくなるという猛毒でもある。アメリカ大陸のように、大規模農場でトウモロコシだけ、大豆だけを作るには効率いいが、狭い農地でいろんな作物を作る日本にはふさわしくない。生産性は著しく落ちる。実はこの農薬、米モンサントと住友化学はすでに話がついていて、許可がおりれば直ちに農協を通じて全国にわたる手はず済み。しかもこれ、たかが農薬売ってなんぼのビジネスではない。日本の農地をシャブ漬けにし、農産物を輸入させる枠を増やすのが狙いといえないか。
▲ モンサント社の農薬は本国アメリカでも批判の対象になっている
メディアが信用されなくなった背景にネットの普及がある。事件ひとつに様々な見方があることを、ぼくたちは手軽に知ることになった。「どれを信じていいのかわからない」とき、人は途方に暮れるだけじゃない。自分で調べ、自分の頭で考えようとする、とてもいいきっかけにもなるのだ。
どの新聞も賛成していることは信用しないこと。
マスメディアの存在意義は、実はそこにある。
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