アルベール・カミュの『最初の人間』という作品に感化され、今年はアルジェリアなど北アフリカあたりへ旅をしようとぼんやり決めていたら例の人質テロ事件。さすがにそれどころじゃなくなった。「ならば」と次候補、アラビア半島のイエメンで調べれば、外務省発のイエメン退避勧告がまだ解かれていないようす。残念である。扁桃炎の熱でうなされながら夢で見たあの景色はイエメンのシバームという街のそれにそっくりで、正夢として目の当たりにしたかったのに。
中東・北アフリカ地域はこれから不安定さを増す!?
発端は2008年のリーマン・ショック。米国や欧州の大規模な金融緩和につながった。米ドルの大量発行は結果として、資源相場の高騰を地球ぜんたいに招いた。お金はないところにはとことんないが、あるところにはものすごくある。富裕層はハイリターンを期待して、持金をハイリスクな原油・穀物相場に投資し、これが資源の高騰とそれの高止まり現象となっている。チュニジアのジャスミン革命から波状していったアラブの春、暴動の原因はそんな食料高騰にある。食べ物の恨みはコワイのだ。加えて、東日本大震災による福島第一原発事故。これが石油天然ガスへの慢性的依存となり、原油相場の高止まりに拍車をかけた。加えてアメリカのシェールガス革命。もう中東から原油を買わずとも天然ガスが自給自足できることから、アフガン・イラク戦争で辟易していた中東への関心がさらに薄れる。オバマ政権は軍事重要拠点を中東から太平洋に移している。地政学上、米国の影響が少なくなるということは、イスラエルが孤立し、中東やアフリカ地域でイスラム武装勢力がより自由に活動できるということだ。
なんてこともあり、中東や北アフリカ方面に行くのは年々リスクが高まりそうである。旅に冒険の要素は必要だけど、冒険ではすまされないこともある。世界はこんなにも広く、一方で小さくなっているのに、行けないイケない場所が増えるのは悲しい。
ぼくは大衆のひとりではあるけれど、どうせなら希少価値のある時間の過ごし方をしたい。旅をひとつとっても、10人のうち6人以上が行ったことのある場所には、いまひとつありがたみがわかない。行列ができるお店もそんな理由から並ばないし、「シェアNo.1」的な商品や人物をあえて避けるようなところがある。単にひねくれてるだけかもしんないですけど。
とにかくアラブの春はまだ遠い。
飛行機でたかが10数時間の距離ではあるけれど。
特別出演 六福のむいちゃん
先日、香港でおじゃました六福邸のパグ犬、むいちゃん(♀)です。ここでは7匹の犬が飼われているんですが、とくにこのむいちゃんはとてもぼくになついてくれてます。まだ生まれて間もない2003年に飼い主、ぶちゃんのパソコンを修理している間じゅう、ずっとぼくの膝に座っていたことをいまでも忘れていないのかもしれません。すごいですね。滅多に会わないのに。その日の午後の便で日本に帰宅。むいちゃんの匂いの残るジーンズに、ちびきちが異様な反応をしてました。膝上の縄張り争いとでもいうんでしょうか。「だれ?だれがここにすわってたの?」みたいな。
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