「容疑者2749人を逮捕し、誘拐された2274人の子供を救出」という中国のニュースにもはや驚かなくなった。7月にに800人拘束し、児童181人を救出というニュースがあったばかりだ。6月に乳児223人を誘拐していたグループ(主犯格は女性)が摘発されてもいたが。誘拐の目的は身代金ではない。子供そのものの売買である。男児ひとり売って得られる利益は36万円、女児は24万円だそうだ。
そこに「犯人が捕まってよかった」という安堵感はない。少し公安の取締りを強化すれば、たちどころにこれだけの犯罪が発覚することに戦慄を覚えるだけである。中国公安省は2009年末から誘拐事件摘発キャンペーン中だというが、まるで「秋の交通安全週間」みたいなノリである。
中国大手ポータルサイト『ワンイー(網易)』のアンケートで「生まれ変わったら、また中国人になりたいか?」という質問に「なりたくない」と答えた中国人は64%。わかる気がする。年間の暴動件数は18万回。まともじゃない。
中国人の知り合いがぼくにも何人かいるが、それぞれにまともだ。尊敬できる人もいるし、恩を感じる人もいる。彼らに共通するのは「中国は好きじゃない」と自ら言っていたことだ。中国本土の人と香港や台湾などの国外出張に同行すれば、そこできまって自国を罵る発言を耳にすることになる。日本人も自国を悪く言うが、いささか謙遜や照れが含まれる。彼らの発言にはそれが感じられない。ただ罵るのだ。これもまともじゃない。
いまや世界第二位の経済大国、中国。
誇り高い彼らのことだからさぞかし威張るかとおもいきや、意外とそうでもない。むしろ控えめである。大国だからと国際社会のルールを守りたくない、という理由もあるだろう。だけど2012年夏、中国の大手メディア『環球時報』が「中国のGDPはいまだ日本に及ばず」と報じていた。中国メディアが報じるということは共産党政府公認ということだ。
環球時報が報じた論拠は、今年6月に行われた「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」にある。国連の評価基準である「許容性資産指数」のことだ。経済成長、環境資源、製造、人類、自然資本の価値を評価に入れて再計算すれば、それぞれ米国118兆ドル、日本55兆ドル、中国/ドイツ20兆ドルとなり、日本は2位、中国は3位(経済規模は日本の半分以下)となる。
ということは、ここ数年間の中国の経済成長はたったの3%。IMFのいう10%(直近では7.4%)に遠く及ばない。そもそも数字を粉飾し、私腹を肥やした役人が5年で66万人も逮捕されている。環境破壊は相変わらずひどく、毎年GDPの3%ぶんの経済が失われているという。こうなるともう、成長してるんだか退化しているんだかよくわからない。
中国のことを悪く言うと良心をとがめられる時代が、戦後何十年と続いた。今その呪縛からは解けつつあるが、その反動もあって中国のことをより悪く言う風潮がある。ぼくはどちらにも与しない。日本は中国に罪滅ぼしをすることはないし、中国も日本に罪滅ぼしをすることもない。ただお互いに違いを認め合い、利するならつきあい、そうでないなら無理につきあわなければいいだけのことである。
秋から冬への、こんなにも自然の景色が美しい日本を愛おしく思う。毎年首相が変わったり、株価は低迷、デフレだし、老いも若きも下向きで、スマホの画面ばっかりみてるけど、そんな弱っちいところも含め日本がふつふつとこみ上げるように好きになる。
自国が好きだからと他国を罵ったりものを壊したりしない。暴動も戦争もない。あたり前のことだけど、周辺の国を知るたびに日本の良さが際立ってくる。
ありがとう中国。おかげさま。
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