夏になれば食べたくなるもののひとつに「ひやむぎ」がある。でも最近では、というかここ何十年もひやむぎなんて食べてない。代わりに食べるのがそうめんである。人からもらったり、たまたま家にあったりで、食べるのはいつもそうめんだ。国外に住んでいたときも入手しやすいのはそうめんであった。不思議といえば不思議である。なぜひやむぎじゃなくてそうめんなのか。
子供の頃食べていたのは、圧倒的にひやむぎであった。今はどうかしらないが、当時ひやむぎは赤や緑に着色された麺が混じっていて、これが好きだったのだ。なんというか「アタリ」っぽかった。それに比べ、そうめんなんて「ハズレ」ばかりのような気がした。
ところでひやむぎとそうめん、いったいなにで区別されるのか?素朴な疑問である。うどんとそば、ほどの違いも、スパゲティとマカロニ、ほどの違いもない。味の違いもほとんどわからない。あるとすれば「太さ」くらいか。
などと思うのはシロウトの考えで、実は成分やら製法やらできっと違いがあるに違いない。というのが世の慣わしというものである。
だのに
調べてみたら、違いはやっぱり太さであった。
どこのシロウトがそう決めたのか?
社団法人日本農林規格協会(JAS)である。
いわゆる農水省の天下り団体だ。
この規格によると、そうめんと呼べるのは太さが長径1.3mm未満(乾麺の状態で)をさし、ひやむぎは1.3mm以上1.7mm未満という。それ以上は「うどん」ということらしい。罰則もある。太さ1.4mmなのに「そうめん」と表記すれば、一年以下の懲役または100万円未満の罰金【JAS法24条】なんだそうだ。
そんなものなのか ひやむぎとそうめん!?
だがそんなこといっているのはJASくらいで、実際ひやむぎとそうめんには、ちゃんと材料や製法に違いがあるようだ。
ひやむぎ:小麦粉、塩、水
そうめん:小麦粉、塩、水、油
ひやむぎになくそうめんにある材料としては「油」がある。乾麺にしたあと熟成させるうちに油が抜け、「ひねもの」という最高級品になったりもする。ちなみにひやむぎは熟成させないで出荷される。
だが油が含まれようと含まれまいと、熟させようとさせまいと、太さが1.3mm未満ならそうめん!以上ならひやむぎ!1.7mm以上あればうどん!というのはいささか乱暴な気がする。おまけに規格通りに表記しなければ罰金まで取るのだから。罰金取りたさにゼロコンマミリまで規制しているんじゃないかという気すらする。
ところで「そうめんダイエット」なんてのがあるときいて、ちょっとドキドキした。冷たく、白く、油っぽくないから低カロリー食品と勘違いしそうだけど、そんなことはない。
ゆでうどん 100gあたり105kcal
ゆで中華麺 100gあたり149kcal
ゆでそば 100gあたり132kcal
ゆでそうめん100gあたり127kcal
ゆでパスタ 100gあたり149kcal
他の麺と比べてもそれほど少なくない。それでも「低カロリー」イメージがあるのは、冷えたものは油分も甘味も感じにくいからかもしれない。
夏は暑くて汗をかく。
だからつい、やせるのでは?と勘違いしてしまいがちな季節である。
暑くてかく汗は体温調節のそれで、運動によるエネルギー消費にかく汗とは違う。いくらかいてもちっとも代謝が良くならない。
そうめんやひやむぎも、低カロリーだろうからとつい食べ過ぎてしまうものだけど、実はカロリーはふつうに多く大量に取ればカロリー過剰摂取。おまけにめんつゆは糖分がたっぷりである。
夏は心の鍵を甘くするわ、ご用心*1
とはダイエッターにも言えることかもしれない。
ああ、年寄りにひやむぎ。
ときどき「すずしそうな犬ね」っていわれるの、なんでだろう?
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